戦国上等

□堕ちた先
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ただ人がいて、ただ自分がいる

歩道橋の上に人が集まっている。今日は、花火大会だった。正直、花火大会などどうでもよかった。この時期に花火大会はほぼ毎週行われている。柚麻としては、一刻も早く布団にはいりたいところ。しかし、人混みでは、うまく前に進めない。




「・・・無理。」




耐えきれなくなった柚麻は手すりに寄った。

新鮮な空気が肺に送り込まれていく。




「明日遅刻したら、主催者のせいだからな。」




一人呟いてもむなしくなってしまった。覚悟を決め、後ろを振り返る。




「!」




まるで待っていたかのようなタイミングで、通行人のハンドバックにぶつかった。

バランスを崩し、手すりの外へと放り出される。




「ちょっ・・・」

「・・・。」




歩道橋の上は柚麻の存在に気づいてないかのように、誰もが空に咲いた花火に夢中だった。




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