SS

□HOLY?
1ページ/6ページ

俺の身体は宙に放り出され、落下している。
間抜けな声を上げてたかもしれないが、数十メートル下のコンクリートに体を打ちつけては只じゃすまない。
俺は迷わずアルター使う。
当たり前のように身体が発光する。
が、アルターは発動することなく光は消失した。

俺はそれから三度試みたが駄目だった。
両手を見て何故だと自問を始めるやいなや、
「うわあああああ、おじさーん!助けてえぇ!!」
と、上からこちらに落ちてくる奴がいた。
「なんだと!?俺はこう見えてもハイティーンだぞ!」
そう言い切ったところで、そいつが俺の同僚だってことと、めそめそと女みたいに泣いているのに気がついた。
奴は頭からこっちに突っ込んできて、握りしめていたなんとかピンチクラッシャーが俺の顔にぶつかった。
俺はぶん殴ってやりたい気持ちを押さえ、
「おい、エマージー!俺だ!ピンチクラッシャーをとっとと呼べ!」
と、胸ぐら掴んで叫んでやったら更に泣きじゃくった。
「しっかりしろ!このままじゃ、俺もお前もおっ死んじまうぞ!!」
俺は思い切り頬を張ってやった。
「痛っ!うえええぇぇん!おじさん酷いよう!」
エマージーは余計に泣きわめく。
まるでガキだ…。
こいつは確かに変態マゾヒストだが、なかなか食えない奴だ。
普段のエマージーなら間違っても俺みたいな格下能力者に助けてなんて言わないだろうな。
危ない奴だと思っていたが遂にイっちまったのか。
エマージーの着ている衣服が俺に間違いなくそうだろうと予感させた。
そうこうする間も俺は自分のアルター・ビッグマグナムを発動できないかと試みていたが、幾度も不発に終わっている。
嗚咽を吐くエマージーにすがるしかない。
「頼む!このままじゃあ、俺もお前もミートソースみたいになっちまうぞ!こいつだ、こいつを呼び出せ!!!」
俺はピンチクラッシャーを持つエマージーの手を握り、奴の目の前に突き出した。
エマージーは助けて助けてと言うばかりで半狂乱だ。
もう駄目だ、助からない。間もなく俺の体は木っ端微塵だ。
俺はエマージーと同じくピンチクラッシャーを握りしめ「助けてくれ!」と絶叫した。

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ