麗御院と開かれた日々

□第5説・心の優しさとは何処までも主観的な物で御座いますね
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「わあ〜、麗御院の名前通り!ホンットに綺麗な顔したお兄さんだね!」

「有難う御座います、格好良い顔立ちのお兄様」

にこにこと、心からの笑みでもってして相対しております。
皆々様こんにちは、麗御院ことナマエで御座います。
先程この派手な・・・いえ、目立つ迷彩の方にお会いしたので御座いますが、つるぎ様が毛嫌いなさっておられます程悪い方ではあられぬようで御座います。


「うっわ・・・その顔で『お兄様』とか言われちゃうと俺様燃え上がっちゃいけない所が燃え上がっちゃいそうだよー」


・・・現に、私の言葉に頬を染めて御座いますし、ね。
内心、私がほくそ笑んだ時でした。


「「そんな奴に笑いかけん(る)なっ!!」」


先程までこの方に私を預ける為に運んで下さっていたつるぎ様と、武蔵の怒声が見事に飛んで来まして御座います。


「つーかてめーもナマエさらおうとしてんだろ!!おれさまたちをてらにかえしやがれーっ!!」


・・・武蔵、何時の間に貴方は我が寺を帰る場所と定められたのですか。
何となく私がそう思う間にも、事態は着々と進んで参ります。


「あのさー・・・俺様この子について何にも聞いてないんだけど?」

「・・・麗御院の寺から勝手に付いて来たんだ」

「おめーがかってにナマエさらうからだろーっ!?」


そう叫ばれた武蔵がいては・・・いつまで経とうともお話が進む気が致しませんね。
私はそっと、武蔵の方に私の持てる最終兵器、折れそうな程とまで言われる繊細な自らの腕を差し出しました。


「もがーっ!!」

「済みません、お話を御続け下さい」

「あ、ああ・・・その、だな、取り敢えずお前達はコイツに預ける事になった」


つるぎ様が指し示されたのは、先程まで頬を染めてらした奇抜な・・・いいえ、傾いた髪色をされた格好良い男性で御座いました。


「どもー。つか、俺様麗御院しか運ぶ気無いからね」

「その点に関しては心配するな。其処のガキは勝手に付いて来る」

「もががっ!!」

「はいはい、静かに致しましょうね」


格好良い男性はどういった方なのかは存じ上げておりませぬが・・・。


「(私や女性であられるつるぎ様程では有りませんが、随分と華奢な方と見受けられます)」


重さに耐えられず、落とされたらどう致しましょうか。
・・・そういった疑問が表情に出ていたので御座いましょうか。


「おい・・・言っておくが、コイツにまで華奢とか言いだすんじゃないぞ」

「えっ・・・俺様それアンタにだけは言われたくない・・・」


そう言って、格好良い男性は見るからに嫌そうな顔をなさいました。
今更ですが・・・武蔵以外にも、『おれさま』と自らを称される方などいらしたので御座いますね。
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