BASARA小太郎連載
□第3話・眼差しの先に
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「(あの子供だ)」
屋根の上にて、里の広間で戸板に寝かされた長老だった男を囲む観衆の中、あの子供を見つけた。
「(これからどうするのだろうか)」
これまでの修行に耐えてきているだけは有り、生き残る事は出来よう。
二親が無い子供はこの里では当たり前だ。
ナマエも、両親のいない子供であった。
「(確か任務中に小間切れにされて死んだという)」
十中八九私が先程殺したあの男が殺したのだろう。
それは私を潜入させる意味も、自由の策を企てられる片鱗を見た私にあの男を殺させる期待も込められた一石二鳥の策で有ったのだろう。
かくして1人の死にたがりとその弟子により、一つの血が絶えたのだ。
「(その様な些細な事)」
視界の中心で、赤い髪が見える。
傍らの橙より、更に濃い。
「(可哀相だ)」
ナマエならそう思っただろう。