落乱小説

□わさび
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「ほら、それは私が食べてやるからお前はサビ抜きを…」


そう言ってきり丸の前にある鮪の皿を取ろうとした瞬間


「だめ!」


と皿を奪い返してきり丸はまた鮪を口へと運んだ


「あ!」

「んぐぐ…」


口に入れた鮪を味わうこともなくお茶で流し込んだ


「お前なぁ…」

「だって勿体無いじゃないですか…折角ただでわさびついてくるのに…」


お前のどケチの執念はどこまでだ、と半助はツッコみたい気持ちを抑えた


「だからってそれじゃぁ美味しくないだろ」

「うぐぐ…」

「今回は仕方ないとして、わさびを平気になってからいっぱい食えばいいんじゃないか?」


ぽんぽんと頭を撫でてやると渋々納得したようで、きり丸は近くにいた板前さんに


「すみません!鮪ください!サビ抜きで!」


と笑顔で言った

一分も待たぬうちに渡されたサビ抜きの寿司を食べ、きり丸は美味しそうに顔を緩めている

それを見た半助の顔も緩んだ
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