あの空の向こう側に
□横顔
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「まよ、った……?」
どこだよ、ここは。
朝、学校に来てなかった友達の事を担任に聞いたらバイクで事故って入院したって話で学校も終わった放課後の今、俺は教えてもらった病院に来ていた
日直だった俺は、他に同行するメンバーに先に行ってもらい後から一人来たのだけど、
「無駄に広いし、」
ここがどこかも分からない。
見えるのは、白い壁と無機質な廊下やドア
唯一色を添えているのは、窓の外の青空だけだった
ここまで早足で来た俺の額には、まだ5月なのに馬鹿みたいに暑い気温のせいで汗が滲む。
別に受付で聞かなくても病室くらい分かると思った俺が馬鹿だった
さっきまで患者や見舞う人、看護師たちと廊下をすれ違ったのに今は、なぜか廊下に誰も出ていない
むしろ、誰もいなくて静か過ぎるくらい。
「ついてねー……、」
行く当ても分からずとりあえずとぼとぼと廊下を歩いていると、半開きの病室のドア
俺はちょっとした、本当にちょっとした出来心でその部屋を覗いた
「っ、」
そこには、ベッドから空を見上げる横顔があった
天気の良い今日は日差しも心地良くて
日に照らされるそいつの顔が、儚くみえて。
男か、女か。
性別さえも分からなかったけれど
目が離せない程に綺麗な横顔だった
―これが君と俺の出会い。
あんまり綺麗だったもんだから、ついジッと見ちゃったんだよ、ごめん。