詠-uta-

□星の銃
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これでお揃いと
あなたは言った
これで一緒なのだと
私は知った

凍てついた手の先に
携えた黒い塊
中身は軽くなっている
手から落ちる赤い雫が
地面に波紋を広げていく

あなたの命令に
私は背いた
人形失格だと
その時分かった
それでも
背かなければいけなかった

私はDOLL
重いものなんて無理よ
持てるはずないわ
ほら見て
今でも震えている

その重さを知ったのは
初めてじゃないわ
でも知らないでしょう
だってあなた
気付かないんだもの

白いドレス
白い髪飾り
白い靴
白い薔薇
あなたは着飾る
私という玩具を

これでお揃いになったの
白は嫌いよ
見透かされるから
あなたの好きな色だって
本当は

真っ黒な部屋
真っ黒な椅子
真っ黒な手枷
真っ黒な足枷
私の置かれた位置
あなたが置いた位置

この場所は嫌い
黒は苦手よ
孤独を知るように
放置されている
すべては

なぜあなたは
私を作ったの
世界の中から
この小さな島で
聞いても教えてくれない

あなたは来なくなった
私の場所に
私は行かなかった
あなたの場所に
ねぇ気付いてた

重くて黒い塊は
知らない間に錆び付いて
私の手から
剥がれ落ちた
腕も一緒になくなった

これで良かったの
あなたの望みは
叶えたい
逆らった私は最後まで
一緒にいられないと
知っていたのに

赤く染まっていた
私の白い服は
今では真っ黒になった
全身を包まれた
気分でいたのに

あなたの場所まで
行けば3歩
見下ろしたあなたは
蔑む事なく
私を見ていた



2009/5/1

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