Mystery magic.

□FILE2.意外な目撃者
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―――かに見えた。



「みなみちゃんは間に合うらしいけど・・・・・・」
「椎菜さんが間に合わないらしいです!」
「どうしよう、コナン君!」
「・・・・・・警部、ごめん、俺先行く!」



バタンッ、と赤信号に捕まっていた車を降り、メッセンジャーバッグから折り畳み自転車を取り出す。



「ゆ、祐樹君!?」
「自転車で急げばまだ間に合う・・・・・・
 椎菜さん、いずみちゃん・・・じゃない、みなみと俺で場を繋ぐから!
 頑張って紡ぐから安心して!!」



そう言うと同時に自転車を走らせる。
間一髪、1分前に到着すると、息も絶え絶えに、会場に入った。



「おっそい、椎菜君!」
「ごめん、彼今ちょっと遅れてて・・・・・・
 代わり、俺でいいかな?」
「!
 え、出来るの!?」
「うん、もう何年もいずみちゃん・・・いや、みなみのファンやってるからね!」



笑みを浮かべて言う祐樹は、着替えてくるー、と再び走る。
控室に入り1秒で着替えを済ませると、音源を2、3回叩いて、よし、と呟いた。



「行くよ!」
「うん!」



走ってステージへ上がる。
キーボードはセットされていて、もう一度いくつかキーを叩いた。



「行きます!」



みなみの声と同時に、キーボードに手を掛ける。
覚えた歌詞と音をキーボードで演奏しながらちらりとみなみを見る。
笑顔で歌い続ける彼女を見、帰ってこられたなぁ、と実感した。



「紹介します!
 私の従弟であり、高校生探偵であり、椎菜君の代役を務めてくれてる、新井 祐樹君です!!」



間奏に入った瞬間言われ、はっとして手を振る。
そして、人の気配を察知しフッと笑みを浮かべ、声をマイクに通した。



「こんばんはー!
 ここまでは俺、新井 祐樹が演奏させていただきました!
 ではご登場願いましょう・・・永野 椎菜さん!!」



そう言ってキーボードの場所を譲る。
走って会場入りした彼は、そのままキーボードの前に立つと、鍵盤に指を滑らせた。



「そしてそして、今日、この舞台の裏で事件が起こりました。
 その時に助けて下さった、江戸川 コナン君、そして少年探偵団、中森 青子さんに黒羽 快斗君です!
 どうか彼らに、盛大な拍手を!!」



そう言って再び歌い出すみなみ。
こうして、コナンたちが乱入したステージは大成功のまま幕を下ろしたのだった。


























「ふあぁ・・・、何か走り回ったら疲れたぁ・・・・・・」
「祐樹、まだ寝ちゃダメ!
 ってか風邪ひくよ?」
「んー・・・、いずみちゃん事情聴取でしょ・・・・・・
 終わったら起こして・・・・・・」
「だから寝ちゃダメだって!
 ほら、コレあげるからちゃんと家で寝なさい!」
「ぇえ・・・俺いずみちゃんのアルバムとか全部持ってる・・・・・・」
「いいから、ほら!」



そう言って押し付けたもの。
よくそれを見てみれば、次のコンサートのチケットだった。



「・・・・・・えっ!?」
「ふっふーん、大奮発!
 いい座席なんだから、デートで誰か誘いな?」
「待って、俺彼女いない!」
「いやいや、彼氏でしょうよそこは」
「彼氏も居ないから!
 ってか俺がこんな恰好の理由いずみちゃん知ってるでしょ!」
「え、何だっけ?」
「・・・・・・もーいいやぁ。
 幼馴染辺り誘っていくよ、ぜひ」
「うん、そうして!」



ニコリと笑みを浮かべるみなみに、保護者として連れて帰らないと、と立ち上がり、部屋を出ていくのだった。











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