Mystery magic.

□FILE2.意外な目撃者
4ページ/5ページ




「さぁて、独りになった方が実は動きやすいんだよねぇ」



ふふ、と笑みを浮かべ、最寄りの駅で降りる。
タンッ、と一息で電車の上に飛び乗ると、電線を掻い潜りそのまま電車の塀から駅のホームを飛び出した。



「行くよ、朱雀!」
「 ピ 」



先に朱雀を飛ばせ、走って朱雀の後を追う。
雨が降っているにも関わらず、一人と1匹は走り抜ける。
ピ、とコナンが持っている探偵団バッジの発信機を確認し、朱雀にも分かるように示す。



「居た!?」
「 ピィ・・・・・・ 」
「そっか・・・・・・
 次行くよ!」
「 ピ! 」



そう言えば、と快斗に持たせたアクセサリーに発信機を付けていた事を思い出す。



「待って、朱雀!」



慌てて朱雀を呼び止め、発信機の場所を探ると、たった今通り過ぎた建物の裏側だった。



「ぅえっ!!?
 近っ!!」



思わず叫び、溜め息を吐く。
まぁいいか、と軽く伸びをし、さて、と呟いた。



「行くよ、朱雀」



ニヤリ、と不敵な笑みを浮かべた。


























「ちゃんと持ってきたよ!」



子供の声がして、男は素直に扉を開ける。
瞬間、ニヤリと笑み、男の顔付近で催眠スプレーを掛けた。
すぐさま寝入り、外階段の手すりへ凭れ掛かる男。



「やぁ、黒羽。
 迎えに来たよ」



ニコリと笑い、被っていた黒いフードを軽く上げた。
素早く縄を抜け、永野(ナガノ) 椎菜の縄を切る。
さっさと出るように立ち上がらせると、もう一人の男がコナンを連れて部屋へ入ってきた。



「へぇ・・・やるじゃん、アンタ」



ニヤリと笑みを浮かべ、男を睨む。
頑丈に巻かれちゃって、と呟き、快斗が駆け寄るが、動くな、ともう一人の男が叫んだ。



「ねぇ、知ってる?
 武道館に掛けた時の電話の声と駅に掛けた時の電話の声。
 最後の二つ以外は全部俺の声なんだよ?」
「なっ・・・・・・!?」
「で、そこにいるいず、みなみは本人ではなく、」
「黒羽 快斗、マジシャンだ!」



そう言って一瞬にして幼馴染に変わる従姉の姿。
が、男はどうでもいいとばかりに拳銃を発砲し、去ろうとした。



「待ちなよ」
「・・・・・・・・・?」
「この新井 祐樹の推理、聞いて行かない?
 せっかく解いてあげたのにさぁ、語らせないなんて理不尽だよ。
 それに、椎菜さんもこうなった理由が分からないだろうしね」
「ほう、その推理とはどんなものだ?」



その言葉に、ニヤリと笑みを浮かべた。



「カウントダウンの鐘が響くよ。
 心着替えて走り出せと、ほら今も一つ二つ」
「!」
「季節外れの花火のように、どこかで誰かが告げる始まりの音」
「貴様・・・・・・!!」
「そう、コレはTWO-MIXのデモテープの歌詞。
 ここにデモはあるけど、俺は要らないからくれてやるよ」



そう言って男に向かって投げる。
男は片手でキャッチすると、そのまま燃え盛る炎へとテープを投げ入れた。



「俺はいずみ・・・いや、みなみの熱狂的なファンでね。
 そして友人でもあるんだ。
 毎回毎回、これでいいか、歌詞の表現おかしくないか、って聞いてくれるんだ。
 その時にもらったテープだよ・・・・・・
 ―――コピーだけどね!」
「「「!?」」」



ちらりと炎を見やり、時間の猶予を確認し、床に座る。
そのまま男を見上げた。



「本物はどこだ!?」
「本物?
 俺の家の本棚だよ。
 いや・・・、本棚ってより、書庫だな。
 結構広い家でね。
 屋敷って感じの。
 テープはその家の書庫の中にあるよ。
 まぁもっとも、本が多すぎて探し当てられないだろうけど?
 でだ、推理の続きだけど」



そう言って淡々と事件の概要を話していく。
そうして、祐樹はゆっくりと立ち上がった。



「以上の点から、アレは正当防衛なんかじゃない。
 ただの人殺しさ!!」



そう言い渡し、事件は幕を降ろした。











次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ