Mystery magic.
□FILE2.意外な目撃者
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「さぁて、独りになった方が実は動きやすいんだよねぇ」
ふふ、と笑みを浮かべ、最寄りの駅で降りる。
タンッ、と一息で電車の上に飛び乗ると、電線を掻い潜りそのまま電車の塀から駅のホームを飛び出した。
「行くよ、朱雀!」
「 ピ 」
先に朱雀を飛ばせ、走って朱雀の後を追う。
雨が降っているにも関わらず、一人と1匹は走り抜ける。
ピ、とコナンが持っている探偵団バッジの発信機を確認し、朱雀にも分かるように示す。
「居た!?」
「 ピィ・・・・・・ 」
「そっか・・・・・・
次行くよ!」
「 ピ! 」
そう言えば、と快斗に持たせたアクセサリーに発信機を付けていた事を思い出す。
「待って、朱雀!」
慌てて朱雀を呼び止め、発信機の場所を探ると、たった今通り過ぎた建物の裏側だった。
「ぅえっ!!?
近っ!!」
思わず叫び、溜め息を吐く。
まぁいいか、と軽く伸びをし、さて、と呟いた。
「行くよ、朱雀」
ニヤリ、と不敵な笑みを浮かべた。
「ちゃんと持ってきたよ!」
子供の声がして、男は素直に扉を開ける。
瞬間、ニヤリと笑み、男の顔付近で催眠スプレーを掛けた。
すぐさま寝入り、外階段の手すりへ凭れ掛かる男。
「やぁ、黒羽。
迎えに来たよ」
ニコリと笑い、被っていた黒いフードを軽く上げた。
素早く縄を抜け、永野(ナガノ) 椎菜の縄を切る。
さっさと出るように立ち上がらせると、もう一人の男がコナンを連れて部屋へ入ってきた。
「へぇ・・・やるじゃん、アンタ」
ニヤリと笑みを浮かべ、男を睨む。
頑丈に巻かれちゃって、と呟き、快斗が駆け寄るが、動くな、ともう一人の男が叫んだ。
「ねぇ、知ってる?
武道館に掛けた時の電話の声と駅に掛けた時の電話の声。
最後の二つ以外は全部俺の声なんだよ?」
「なっ・・・・・・!?」
「で、そこにいるいず、みなみは本人ではなく、」
「黒羽 快斗、マジシャンだ!」
そう言って一瞬にして幼馴染に変わる従姉の姿。
が、男はどうでもいいとばかりに拳銃を発砲し、去ろうとした。
「待ちなよ」
「・・・・・・・・・?」
「この新井 祐樹の推理、聞いて行かない?
せっかく解いてあげたのにさぁ、語らせないなんて理不尽だよ。
それに、椎菜さんもこうなった理由が分からないだろうしね」
「ほう、その推理とはどんなものだ?」
その言葉に、ニヤリと笑みを浮かべた。
「カウントダウンの鐘が響くよ。
心着替えて走り出せと、ほら今も一つ二つ」
「!」
「季節外れの花火のように、どこかで誰かが告げる始まりの音」
「貴様・・・・・・!!」
「そう、コレはTWO-MIXのデモテープの歌詞。
ここにデモはあるけど、俺は要らないからくれてやるよ」
そう言って男に向かって投げる。
男は片手でキャッチすると、そのまま燃え盛る炎へとテープを投げ入れた。
「俺はいずみ・・・いや、みなみの熱狂的なファンでね。
そして友人でもあるんだ。
毎回毎回、これでいいか、歌詞の表現おかしくないか、って聞いてくれるんだ。
その時にもらったテープだよ・・・・・・
―――コピーだけどね!」
「「「!?」」」
ちらりと炎を見やり、時間の猶予を確認し、床に座る。
そのまま男を見上げた。
「本物はどこだ!?」
「本物?
俺の家の本棚だよ。
いや・・・、本棚ってより、書庫だな。
結構広い家でね。
屋敷って感じの。
テープはその家の書庫の中にあるよ。
まぁもっとも、本が多すぎて探し当てられないだろうけど?
でだ、推理の続きだけど」
そう言って淡々と事件の概要を話していく。
そうして、祐樹はゆっくりと立ち上がった。
「以上の点から、アレは正当防衛なんかじゃない。
ただの人殺しさ!!」
そう言い渡し、事件は幕を降ろした。
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