Mystery magic.

□FILE8.マジック好きの王女様
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翌日―――。



『祐樹君、この間はありがとね!』
「どういたしまして・・・・・・
 ふぁ・・・、眠い・・・・・・」



欠伸を噛み殺しながら祐樹の声で言う祐斗に、呆れたように電話の相手である青子が言った。



『もー、また夜更かしして本読んでるの?
 目悪くするよ?』
「んー、文句ならバ快斗に言って。
 ある意味アイツに付き合ってんだから」
『何してんのよー』
「ちょーっと、次のマジックの計画をだね・・・・・・」
『ホント!?
 見せてくれるの!?』
「うん、まぁ、その時にね。
 俺も忙しいからさぁ」



廊下の壁に凭れながら電話する祐斗に、不信を抱き横切る生徒たち。
堂々と会話している事に疑問を持つが、気にせず生徒たちは過ぎて行った。



「黒羽ー、次移動・・・、って電話してんのかよ?」
「あ、やばっ。
 ご、ごめん!
 また電話する!」



慌てて電話を切り、何、とぎこちない笑みを浮かべる。
何でもない、と言うコナンにほっと小さく息を吐いた。



「あ、なぁ黒羽」
「何?」
「今度なんだけどさ、お前に手伝ってもらいたい事あんだけど・・・・・・」
「・・・・・・何」



怪訝そうに言う祐斗に、苦笑しながらも告げる。
それを聞き、祐斗は一瞬黙ると、顔を上げた。



「対価は?」
「そうだな、俺を1日動かせる、でどうだ?」
「それじゃ、対価が大き過ぎる。
 いいよ、おまけに快斗を付けてその対価でどう?」
「・・・・・・交渉成立、だな」



ニヤリと笑みを浮かべるコナンに、祐斗もフッと笑みを浮かべた。


























「ちょっと祐ちゃーん、何勝手に」
「いいだろ、減るもんじゃないんだから」



溜め息を吐いて、黒羽家のソファに座ったまま祐樹が言う。
祐ちゃん言うな、と反論しつつそう言えば、む、と小さく頬を膨らませた。



「何でめーたんてーと同じトコ行かなきゃなんねぇんだよ」
「それは祐斗が江戸川と約束したからだな」
「何でだよ」
「だって江戸川を1日動かせるとか言われたらそりゃノるでしょ」
「あー・・・・・・」



イコールじゃないんだもんな、と納得して言う快斗。
で、と祐樹は首を傾げた。



「どうする?」
「決まってんだろ、そりゃ」
「だよね」



言ってくれると思った、と笑って、祐樹は本を閉じた。











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