短編

□楓
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周りを見渡せばすっかり朱に染まった木々が並んでる。
隣をみれば愛おしい彼女が居る。
それが当たり前だと今までは思っていた。

周りを見渡せば朱に染まった木々が並んでる。
でも隣を見ても彼女は居ない。

何故、そうなってしまったのか。
それを考えると後悔という感情ばかりだ。


この間、彼女との記念日だった。
この季節になると彼女は毎年朱く綺麗に染まった楓の葉をくれた。
何故彼女は楓を毎年くれていたか、当時は理解していなかった。
でも、彼女があまりにも幸せそうにくれるから不思議と幸せな気持ちになった。


でも、ある日を境に彼女は一緒に居てもあまり笑わなくなった。
理由を聞いたら最近テニスばかりで全然かまってくれないから。そう言われた。
今思うと確かにそうだったかも知れない。
でも当時の自分は惰性に溺れてしまっていたため、あまり気にとめていなかった。
だんだん彼女の魅力が見えなくなり、俺は彼女に対して少しずつ冷たく当たるようになっていった。

そしてとうとう俺達は別れた。
彼女は別れ話が終わると最後に楓の葉をくれた。
すごく悲しそうな笑顔をしている理由が俺にはわからなかった。













花言葉「大切な思い出」

それを知った時 絶望の感情さえも、
(彼女が楓を俺に贈る理由なんて今更知りたくなんてなかった。)
















2011.11.18 季節違い(今回名前変換無しですみません…)

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