短編

□きみをころしたぼくはしね
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目を瞑る度に、あの日みた夢が蘇るんだ。
目の前に倒れる僕の大切な人。真っ赤に染まる僕の手。
嗚呼、また、まただ。
また、眠れない。
カーテンの隙間から覗く月が眩しい。
目が冴えて、寝付けない。
カーテンの隙間から月がきらきらきらきらきらきらきらきら。
壁に反射して、僕の目に反射して、壁に反射した月のきらきらを触ってみたけど、それはやっぱりただの反射した月の光で、意味なんてなかった。
嗚呼、大丈夫。僕の手は赤くなんてなってない。大丈夫。そのまま、生まれた時のまま。
良かった。良かった良かった。


ふと、隣を見ると、いつも通り、君が寝息を立ててすやすや眠っていた。
綺麗な寝顔。
長い睫毛。ピンク色の頬。ほんのり赤くて、僕の大好きな、美味しそうな、唇。

ーーー美味しそう?

僕ははっとした。
美味しそうだなんて、ダメだ。美味しそうなんかじゃない。違う。彼女は食べ物なんかじゃない。違う。違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う。
布団を握りしめた僕の手に、ぽたりと何かが落ちた。
何かと思って元を辿ってみれば口元だった。
嫌だ嫌だ嫌だ。口元を拭いても拭いても溢れてくる。
僕は、僕は、、、。


ぎゅっと、服を掴まれる感覚で一気に現実に戻された。
掴まれた方をみれば、君が此方を見ていた。
見られちゃった。
こんな僕、見られたくなかった。










「お腹、すいたの?」










彼女はそれだけ言うと、微笑んだ。
やめなよ。人間の君が、喰種に、僕とはいえ、お腹の空いた喰種に、そんな言葉を気軽にかけちゃ、だめだよ。

僕の頬を撫でる彼女はとても落ち着いていて、綺麗な笑顔をしていた。










「カネキ、私ね、」










カネキの事が大好き。だから、カネキ、辛いなら、食べてもいいよ。
そう言って、僕の口に、指を入れてきた。
やだ、やだやだやだ。
食べたくない。食べたくない食べたくない食べたくない食べたい、
食べたい。
彼女の指に歯を立てた。
血の味がした。
とても、とても美味しい。
痛さに歪んだ顔。
どれも最高だ。

僕はどんどんどんどんどんどんどんどん彼女を食べた。
3分の1ぐらい食べたところで、正気に戻った。
彼女の息はもう、なかった。
僕はまた、泣いた。


(食べてって言ったのは彼女だ。だから僕は、僕は悪くないよ、ね?)


そう呟いて、泣きました。












きみをころしたぼくはしね

僕なんて死んでしまえ。
心からそう思った。










2014.12.01 支離滅裂だし名前変換なくてすみません。
まだ、最初の頃のカネキくん。
もしカネキくんが大切な人を食べてしまったら。

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