小話

□金銀
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「どうしたってんだ、アイツ…」



ポケギアをポケットに突っ込みながらゴールドは首を傾げた。


今日のシルバーは何か変だ。

普段の彼からは想像できないほど弱々しい声だった。


「ウバメの森…か」


確かウバメの森はコガネから近かったはず。

そんなことを思い愛用のスケボーを手にした。






―――――――


自分は上手く喋れていただろうか。

そう思いつつシルバーはポケギアを床に放り投げた。

「…………」


目を閉じれば先程話していた少年の顔が浮かんで。

シルバーは自嘲気味に笑うと、自分の膝を抱え込みながら俯いた。




ゴールドは来てくれるだろうか。


自分だけが話を進めたから怒っているかもしれない。


いやそれよりも、今まで散々彼を無碍に扱ってきた癖に会いたいなんて自分勝手だ。




静かすぎる空間に独りで居るとどうしても嫌な方向にしか考えられない。


だけどそれでも……。


「ゴールド…」


やはり会いたいと願ってしまう。



今にも折れそうな心の内で。
零れ出た名前と共に、シルバーは一筋の涙を流した。




―――――――


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