小話
□金銀
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たまに独りきりが耐えられなくなることがある。
いつもうまく抑えられている感情も一気に溢れ出して。
そういう時柄にもなく思ってしまう。
人の温もりを感じたい、と。
『お前に会いたい…』
ポケギア越しに聞こえる声をゴールドはぼんやりと聞いていた。
シルバーから電話がかかってきたのは彼がコガネシティのゲームセンターで遊んでいた時のことだった。
普段自分から電話をかけてこない彼だったから最初は驚いたりしたものだが。
それよりも会いたいという言葉がより衝撃的でゴールドの思考は停止した。
今までゴールドの方から会いたいと言えば軽くあしらっていたあのシルバーが。
「……」
『ウバメの森に隠れ家がある…。そこで、待ってる…』
ゴールドの無言をどう取ったのか。
シルバーはそれだけを言うと電話を切った。
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