小話
□※金銀
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ゴールド×シルバー
「……んっ…!」
いつもと違う口付けだと気が付いたのは、唇を重ねてすぐのことだった。
まずいと思った時にはもう遅く強引に舌を割り入れられた。
「…っふ…んぅっ…」
息ができない苦しさにくぐもった声を漏らせば、ゴールドはシルバーの頭を掴みより深く口付けた。
歯列をなぞり、口内を犯す舌の動きに今まで感じたことのない感覚が襲う。
「…ん、くっ……」
舌と舌が絡み合えばやがて独特の水音が響いて。
互いの交じり合った唾液がシルバーの顎を伝った。
それを拭うこともできずただ呼吸を求めてゴールドの肩を掴むと。
名残惜しげに唇を舐めてから、やっとゴールドはシルバーを解放した。
「…はっ…はぁ…」
肩全体で息をしながら、シルバーは一気に脱力した。
心臓の音がうるさく鳴り響き、頭がくらくらする。
「大丈夫か?」
頬が熱く上気する自分と違い、何食わぬ顔をしたゴールドに苛立ち。
息を整えるのも忘れてシルバーはゴールドをきっと睨み付けた。
「…どこ、で…覚え…てきた…?」
「レッド先輩から教わった」
何てことを教えたんだ、あの人は。
内心泣きたい気持ちでシルバーはレッドを恨んだ。
「で、どうだったよ」
「は?」
「気持ち良かっただろ」
「…ふざけるな!」
ばしっと小気味の良い音がそこら中に響き渡った。
痛ぇと頬をおさえるゴールドを尻目にシルバーは頭を抱えて俯く。
今だ頬は火照っていて心臓の音は鳴り止まなかった。
(……一生の不覚だ)
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初めて大人の味を知った日。
090322