小説(長編)

□第2章 運命の扉
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――本当に今日はついてないと思う。


折り畳み傘を忘れるなんて天音の普段なら絶対にしない凡ミス。また、今日は朝から忘れ物の嵐だった。
自身が少し抜けていると言うのは理解していたが、こんなに凡ミスを繰り返してしまうのは初めてだったと思われる。


そんなことを思いながら、天音は部活に向かった。
何時もより、少しだけ足取りは重い。


それも皆、今日見た夢のせいだと思った。


――不思議な夢だったなぁ。


天音は部活へ行く足は止めず、ゆっくりと今朝視た夢の内容を思い出す。


荒れる天気。鳴り響く雷。
そんな中、見たことのない不思議な魔法陣に立つ女の人。金色の長い三つ編みを風に靡かせ、エメラルドグリーンの瞳は空をも射抜くような意志の強さを感じさせた。

そして、彼女が持っていた黄金の鍵から放たれた光……。
その瞬間、空は晴れ渡り鍵は消滅した。
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