小説(長編)
□第1章 プロローグ
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雨が降りしきる中、1人の女が傘もささずに広い草原に立っている。
彼女の足元には魔法陣と思われるものが描かれてあり、その中心に彼女はいた。
暫くしたあと、彼女は右手に握り締めていた金色に輝く小さな鍵をゆっくりと天に掲げた。
そして、神経を一気に集中させる。
「……『女神の鍵よ、この世界を救う異界の者を我が元に導きたまえ!!』」
刹那。彼女は巨大な魔力をまるで金の鍵に吸い取られるかのように放つ。
すると、金の鍵はその魔力を吸収し、虹色の光を天に向かって勢い良く放った。
その光は天を貫き、辺り一面の雲をも晴らした。
「……どうか、早く……。女神の力を継ぐ者よ……早く世界の崩壊を止めて……」
彼女は天を見上げ、祈るように呟く……。
雨は、止んでいた。