小説(長編)
□第7章 緑の国と黄色い物体
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「……『緑の国』って、本当に緑がいっぱいなんだねぇ……」
「そうだな」
天音は小さな古い茶屋の椅子にリオンと対面して座りながらも、目を輝かせてキョロキョロと辺りを見渡している。
リオンはそれを苦笑して見ていた。
2人がいる『緑の国』とは、国全体が山や草木に覆われていて、とても綺麗な国。川のせせらぎ、小鳥のさえずり、暖かい木漏れ日……。
天音は、とても素敵な国だと思った。
「この国は一年中緑に囲まれてるからな」
「え? 四季がないの?」
唐突に言われた事実に天音は目を丸くして驚いた。リオンはタイミング良く運ばれてきた団子を口に含んでから小さく1つ頷いた。
「あぁ。……でも四季がないことは特別なことじゃない。寧ろこの世界の国々で四季のある国の方が少ないからな」
「そうなんだ……?」