小説(長編)

□第2章 運命の扉
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空からは雷を伴う酷い雨が降っている。


「……うわぁ、酷い雨……」


高梨天音(タカナシ アマネ)は窓の外を見てそう呟いた。栗色の腰まである長い髪は彼女が歩く度にゆらゆらと揺れ、同色の瞳は物憂げに伏せられる。
手持ち無沙汰な手は、首に掛かっているアクセサリーを弄って退屈さを誤魔化している。

そして、小さく紅い唇からはため息が洩れた。


「天音ー、どうしたの?」

「あ……、えっと、傘忘れたの。ほら、今日天気予報で一日中晴れって言ってたから……」


折り畳み傘も置いて来ちゃった、と天音は恥ずかしそうに苦笑した。尋ねた友人も、それを見て天音の憂鬱そうな表情に合点がいったらしい。


「成る程ねー、だからあんなにため息ばっかりついてたんだ」

「え、私そんなにため息ばっかりついてた?」

「うん。それはもう何回も」


自身が意図せずとっていた行動に驚き、天音はまた苦笑して見せた。
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