小説(長編)
□第1章 プロローグ
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「あは……。あはは……、あははははははは!!」
……遠い過去。否、その惑星にとっては僅かな時間しか経っていないであろう過去。まだ戦争が全世界を包んでいた時代。
その世には『闇』と呼ばれるモノがいた。
「あか、朱、赤、アカ、紅……!」
『闇』はたったの半月で広い世界を災禍に巻き込む。休む暇もなく世界を駆け巡り、皆に災いを齎した。
後の人々はこう語る。
『あれは人の面をつけた“化け物”だった』
と……。
「あははははははっ!!」
「『――――』っ!」
……しかし、『闇』は約1年後にある1人の異世界の女性によって封じられた。血みどろの世界は、それ以後段々と元の平穏な生活を取り戻していく。
罵声や銃声、破壊音や悲鳴は次第に収まり、小鳥の囀りや人々の活気のある声に変化していった。
そんな中にいるからこそ、世界を巻き込んだ戦争を人々は忘れていく。
――しかし、世界のタイムリミットは刻一刻と迫っていたのだ……。