休日プランを立てましょう




最近さー、なんかみんな疲れてない?

やっぱ団の為にもここらで一休みするのが得策だと思うんだけど

え?いやいやいや!
オレ個人のためじゃなくてね?

軍師の意見だよコレ
ちょ、なんだよそんな目で見るなって

とにかく明日は休み!休暇日!



そんなリウの必死な説得により
思いがけず与えられた休暇をどう過ごそうか、城内全体がウキウキと浮かれている中
陰でほくそ笑んだ彼の企みを知る者は、きっと居ない筈だ
マリカが白い目を向けていた他は。


居ない筈、だった





「げ…っ」




団長部屋――ハルの私室前で足を止め、低く唸る

ドアの前には公然のストーカーと化したメイベルはもとい
普段見かけない顔触れが集まっていたからだ



「えぇと…皆さんお揃いで、どーしましたかね」



尋ねるリウの顔色には明らかに「早くどっか行けよ」が含まれていたが
それに気付き従う者はいない



気付いていてもスルー。



そういった心意気なのだろう
この場の全員の目的は間違いなく同じだ



(何としてもこの人達よりも早くハルをデートに誘ってやる…!)



休暇日をいかに有意義に過ごすか。
数名の考えが一致した結果だった





リウと数名の攻防戦が開始された




「えぇと…アスアドさん」

「はい?何でしょう、リウ殿」


お互いに笑顔だが、心の中ではテーブルの下で足を蹴り合っているだろう


「さっきナキルさん達が捜してましたよ。呑みに行く約束をしたとかで」


見る見るうち内にアスアドの顔色が青冷めるのがわかる


そういえば、そんな約束もした。
休暇を与えられる数時間前に。
だがしかし、今となってはこの目の前の扉を開くことの方が優先だ


「いーのかな〜?可愛い部下の方々、すんごく楽しみにしてたみたいだけど」

「く…っ!」


走り去ったアスアドが
後に酒の席で「諜報員なら空気読め空気を!」と絡んだが
部下は首を傾げるしか無かった

理不尽な八つ当たりを受けているという空気は読めるであります。



(チョロイ…)



一人片付いた

さて、とリウが次に狙いを付けたのはロベルトだ


「何だよ…オレは誰とも約束なんてしてないからな」


笑顔のリウと睨み付けるロベルトだが、心の中では髪のつかみ合いだ



「メルヴィスさんが捜してたけど」

「…捜される理由がない」

「なんか怒ってた」

「っ!!」


ダッシュで駆けて行ったロベルトに手を振って見送る

いきなり目の前で正座を始めたロベルトを
「そんな子供騙しの嘘に騙されるな」と、嘆息混じりに叱ったメルヴィスだ

だって副長怒ると怖いんですもん。



(チョロ過ぎ…)



また一人片付いた
残るはメイベル含むあと三人



ちらりとヨベルを見やると、ギクリと肩を震わせた

「お、オレは約束も無いし怒らせても無いからな!」

一見睨まれた蛙状態だが、心の中では低俗な悪口の言い合いだ



「お前のねーちゃんが肩揉めって言ってたよ」

「…ほっとくから大丈夫」

「逆らったらけちょんけちょんにした揚げ句に幼い頃の恥ずかしー過ちをバラすって聞いたけど」

「ねえちゃんっ!!!!」



それだけはヤメテクレと叫びながら屋上へ向かったヨベルに合掌。

実はもうバラされていたことは、肩を揉み終えた直後に知ることになる
イクスが笑いを堪え切れていない顔で話し掛けてくるのが最悪だった



残るはあと二人
どちらも自分にとっては強敵だ

日常的にハルの部屋へ忍び混むメイベルを押さえ付ける力は自分には無いし
その役目は誰が決めた訳ではなく、いつの間にかジェイルのものだ

ジェイルもその仕事を当然とでも思っているのだろう


しかし今この状況ではどうだ
ジェイル以上に手強い相手など居る筈が無い

ハルの幼なじみであり、シトロ村の仲間だ

何を考えているのか分からない部分が多々ある彼だが
リウをすんなり通すとはどうしても思えない


笑顔で向かい合う二人だが
心の仲ではガンの飛ばし合いだ



(どう出たらイィのか…)



脳内で策を張り巡らせるが、良い策が浮かばない

流石はジェイルだ
隙が見つからない



だがしかし、勝機はリウにあった



「なんか良く分からないんだけど…わたし行っちゃお!」



二人の様子を交互に見つめていたメイベルが動いたからだ

ドアノブに手を掛けたメイベルの首を条件反射で掴み
そのままズルズルと引きずって行くジェイル


「しまった…!」


気付いた時には遅かった
ハッと振り返ると
先程メイベルが手を掛けていたドアノブには、リウの手が掛かっていて。
笑顔で片手を振る軍師が部屋へ消えて行く姿を呆然と見送った



その怒りはメイベルをスヴァトゴル火山へ置き去りにすることで発散したとか。





(悪ィ、ジェイル…!)



心の中で平謝りだが、こちらにも引けない理由があるのだ



何を犠牲にしてでも手に入れなければならない
輝かしい休日のために。





「明日?ムリムリ、マリカの買い物の荷物持ちだもんオレ」





儚い夢は終わった





    まさかの伏兵










らさき様ありがとうございましたぁ!!
恐れ多くも、リウ主か主争奪戦というリクをしてしまった所、こんなにもステキなお話を頂けるなんて幸せすぎます!!
みんな団長が好きすぎで可愛かったですvv
あの手この手でライバルを退けるも結局報われないリウも可愛すぎです(≧▽≦)
らさき様本当にありがとうございました!
これからもよろしくお願いします♪










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