裏
□監禁生活
2.
――紅麗に拉致された――
ガバアァ!!!
記憶が戻ると同時にこの場から離れなければとベットから飛び降り出口を探す。
『紅麗が戻る前に早く!!』
焦る気持ちをそのままにこの部屋唯一の扉に手を伸ばす――だが、
「そんなに慌ててドコに行くんです?――花菱 烈火――」
「………。。」
冷や汗が止まらない。
後ろからかけられた声に。その存在に。
気付くことすら出来なかった今の自分に。
改めて気付かされる――
『力の差』を。。
…自分ではこの男を倒すどころかパンチ一つ食らわせる事も不可能に近い事を。。
「?!」
ほんの一瞬の内に
「…クスクス…」
自分の目の前に立った男は
「……ガタガタ……」
相変わらず口元だけ欠けたお面を付け、そのお面の欠けた口元を笑わせていた。
「――紅麗。」
震える四肢が後退を余儀なくさせる。。
●○●○●○
――その日は雨がやけに強く降っていた。
「むぅすぅんで、ひぃらあいぃて……」
姫のバイトを窓の外からそっと見守りながら俺は姫が子供達と楽しそうに遊んでいるのを眺めていた。
紅麗の館から姫を救い出し、それから特訓に向かい帰って来て二日。
「その手を上に〜〜♪」
久しぶりのこの穏かな雰囲気に心地よさを感じながら自分もつられて歌を口ずさむ。
『姫可愛いなぁ〜〜♪』
などとお気楽なことを考えながらボーっとしていた。だが――
「何だぁ〜?あんたら。紅麗の手先か?」
姫の仕事も終わり、姫が出てくるのを職員玄関で待っていた俺の前に突然車が止まると中から黒服のガタイのイイお兄さん達が現れ俺を囲んできた。
「姫には次に会うときまで手を出さない約束だったはずだぞ!!」
警戒あらわにソイツ等を睨むと男達は顔を見合って赤いビンを取り出しスッと俺の前に突き出した。
「――違う。佐古下 柳に用は無い。
“花菱 列火”お前に用があって来た。」
そう言い終わるか終らないかというところでもう一人の男がその赤いビンの蓋を開けた。
「?!」
甘い香りが辺りを舞う。
『…女物の香水…?』
そう思った直後、足元から何かが崩れていった様な気がした。
『な、なんだ…?コレ??』
薄れゆく意識の中そう思っていると
「……よくやった。」
――頭の隅、
聞き覚えのある声がそう言った。
●○●○●○
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