文【ささやこ2】

□小咄(え)
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「そういえば、笹塚さんって焼酎しか飲まないんですか?」
「唐突になに、弥子ちゃん」
言いながらやっぱりグラスの焼酎を飲み干して。
マジマジと瓶を眺める笹塚さん。
「いえ、だってそれしか見た事ないなと思って」
「泡盛とかは飲むけど…」
って、やっぱりアルコール度数高いんですけど。
「弥子ちゃんは?」
不意に問われて、少し考え込んだ。
「えーと、お刺し身にはやっぱり日本酒ですよね!!」思い浮かんだ答えを、両手を叩いて叫んだら。
「ふ〜ん…」
チャラリ、と聞き慣れない金属音がして。
振り返った時にはもう遅かった。
「ちょ…っ、笹塚さ…!」
右手首にひんやりした硬い感触。
これはまさか。
「なんで手錠なんか持ってるんですか…?!」
「ん、刑事の必需品」
くん、と引き寄せられて倒れ込む。
「そうじゃなくて…っ!!酔ってますね?」
上から覗き込んでくる目許が僅かに赤い。
私は多分もっと赤いはず。
「笹塚さ…ん、んっ」
アルコールの匂いのするキスにくらくらする。
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