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□The World(L)       第三話:再会と離別
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「た、大変な事になったっぴ!キルシュがどこかに連れて行かれたっぴ!!」
「キルシュなら大丈夫よ!あんな奴に負けるもんですか!」
「そうよ、パニックにならないで。アランシア、この洞窟の外は?」
「村があるわ。ひとまずそこへ行って、聞き込みをしましょう!」
「賛成だ。あのエニグマ、相当なダメージを受けてる。そう遠くへは行けないだろ、多分」

素早く方向性を定め、四人は洞窟を更に奥深くへと進む。やがて、洞窟の向こうから光が差し込んでいるのが見えた。

「光だっぴ!出口だっぴ!」
「ようやく、ね。早く出ましょう」

見えた光はキルシュへの希望。ピスタチオを先頭に、四人は一斉に走り出した。

(お願いキルシュ、無事でいて……)
(無事でいなさいキルシュ。アランシアを泣かせたりしたらサンライト百連発よ)

女性陣の思いは募り、男性陣はただ駆ける。ピスタチオはキルシュを案じ、ヘイゼルはキルシュを信じ、それでも二人は言葉にせず、思いも馳せず、ただただ駆ける。

そして――


「あらん。珍しいですわん」

洞窟の出口にいたのは、独特の口調に独特の体、しかしどこかで見た事のあるような種族。

「パペットだっぴか?!」

そう、それはマドレーヌクラスのカベルネと同じ、木の体を持つパペット族だった。

「この先に、パペット族が住んでるトルーナ村があるの」
「じゃあ、あなたはトルーナ村の?」

アランシアの説明を受けて、ヘイゼルが目の前のパペットに問い掛けた。

「まあ、よくご存知ですこと。さっき黒いフードを被った人をトルーナ村で見掛けたけど、その人のお知り合い?」

雄弁なパペットの台詞の中に、聞き捨てならない言葉が一つ。

「黒いフード?」
「ガナッシュか……」
「多分ガナッシュだわ!良かった〜、ガナッシュがいればもっと心強いよ!」
「ガナッシュ、か。何とか合流したいわね。他には誰か、私達と同じ年頃の人間を見ませんでした?」

首を傾げるピスタチオ、ガナッシュとは犬猿の仲にある為複雑そうなヘイゼル、緊張に強張った顔を少し緩めたアランシア。そして、更なる情報が欲しいアイリッシュ。

「ワクティ村の辺りで見掛けた、って人がいたわよ」
「ワクティ村……聞いた事があるな。確か愛の大使の村だ。ペシュみたいのに取り囲まれて説教されたらどうしような」

冗談を飛ばすキールを睨みつけたアイリッシュは、パペット族の女性からワクティ村の所在を聞き出し、礼を告げるとすぐに歩き出した。
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