PROSE Y

□闇委
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廻る時計は刻み続ける時の音
君と僕は同じ速さで
水面を歩く
滴に濡れる
2人はいつも
微笑みを交わすだけで
繋がっていた
…ねぇ?
君はそう思わない…?
僕は君がいることが
幸せだなんて
そんなきれいごと
誰にも言えるはずがない
君も
そうだろ?
君は僕が側にいるだけで
そんなことが
幸せって言える…?
繋がっていたのは
確かだけど
きっとそうだけど
でも
存在と他の姿
もっとほしい
声で
言葉を綴って
音を
僕に残して
そして
僕を闇から掬いだして
いるだけじゃ駄目なんだ
嫌なんだ
僕に言葉を
琥珀のような癒しの言葉を
僕に手を
白く透き通る透明な手を
助けて
この僕の心を
この身体を
君に
刹那の輝きの瞳で
見つけて
引き寄せて
全てを抱きしめて
僕の思い…
この想いだけで
君を縛り付けて
光を奪おうとする
もう握りしめた手を
離してしまおうか…?
君を放して
僕はひとり
闇の奥へと沈んでいこう
僕は助かることはない
救われる価値はない
君は歩く
水面で僕の手を離して
歯車は廻る
君の時は同じ速さで
水面に波紋をつけながら
僕は跡を残せずに
暗い水底へと眠りを誘う
終わりがないまま
瞳をとじて
白い息を交わらせて
僕の時は今止まる
君への想いは止まらないけれど
それはもう叶わぬ華の訪れ
さよなら
君が君の時を過ごせるように
ありがとう
僕は僕の闇を歩けるように

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