PROSE \

□心壊
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走れない、止まらない、歩いては立ち止まる、人生は矛盾。

僕は誰かで、君ではない人。

足の向かう先は同じ?

違うの?

きっと違う。

君の瞳は遥か遠く何処かの地を視ているから。

僕は足を掬われないようにするので精一杯だった。

それは今も。

手を。

掴んでもいいかな。

君の。

僕にも見せてくれないか?

夕焼けでも朝陽でも…夜の闇でも。

たとえ何だって君となら。

だから君の手を。

熱を、焦がすほどの甘い痛みを伴わせて。

消えないでいて…どうして手を振るの?

その手を僕に…。

心臓が逸る。

呼吸は定まらない。

襲われる?

来る…誰…何…襲われる!

止まらない、侵食していく恐怖に為す術も無く。

のまれて…崩れかける。

嫌だ!

まだ、死にたくない!

殺さないで…まだ…だけど…殺して…下さい…。

…いつもと、同じ。

あぁ…変わらない、それは日常。

また、生きた。

生きている。

また…足掻いた。

…死ねば良かったのに。

死ぬのは怖くて…。

落ち着き、冷たくなる心。

呼吸は深く…息苦しさの中。

さぁ、今日も這いずり生きようか。

身体中の悲鳴を無視して。

知らない空気を破りながら、笑おうか…少しでも多く。

気付かないらしい…気付こうともしない。

…気付きたくないはず、気付くわけもなく。




殺せと言いました。

あなたが私に言いました。

痛いくらい突き刺した視線で。

誰かと言われなくてもわかります。

殺すのは自分だという事を。




約束は守れない。

でも 誰か 一度でいい。

幸せの約束を交わして果たして下さい。

私の為に、あなたの為に、誰かの為に。

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