蒼煌水晶
□籠ノ鳥 鳥ノ籠
4ページ/6ページ
汚れた手の中で果てようと、オレには項羽しかいない。
項羽以外いらないし、この身はアナタの物だ。
『鳥ノ籠』
「どこに行っていた?」
相手にそう問えば、相手は曖昧に微笑みながら…
「散歩」
と言った。
項羽は嘘つきだ。
散歩な訳がない。
微かに香る生臭い生命の証し。
誰かの血に染まった項羽がオレを抱く。
拒絶の言葉はもうとうに忘れた。
オレの聲で束縛出来るなら。
オレの聲で罪悪感を思い出すなら…
それで良い。
項羽はオレの自由を奪ったから。
.