生前は穏やかな顔をしていたという僕のお父さんの体には、今では、大食らいな妖怪が住み着いている。


「青嵐殿、土産が御座りまする。昨夜の、宴で客人から是非土産にと勧められましてな。なかなかの珍味らしいですぞ。」
尾黒が、得体の知れないものを、『お父さん』に差し出している。何か、丸い―、いや、具体的には知りたくない。あいつらがその土産とやらに集中しているうちにレポートを仕上げてしまおう。まだ分量を3分の1程満たしていなかったはずだ。
『お父さん』がのそりと動く。
「お、小鬼の頭のじゃないか、頂くぞ。」
がっかりだ、何がかというとこんな奴が―。
「―ちょっと!!何してるんだよ、まさか、その姿で食う訳じゃないだろうな。そしてするんなら僕の視界の外で食事してくれ。」
『お父さん』が僕を見上げてくる。
「いちいち煩い奴だな。」
あいつが出てくる、青嵐が。その細い目でこちらをちらりと見やって、しっしっと追い払う仕草をする。ムカつく。
部屋を出ていこうと踵を返した瞬間、ドサリという音がした。
「青嵐殿!!!!」
倒れていた、青嵐が。正確には、合わせて2人。
「聞かせて貰うぞ、尾白、尾黒、その客人とやらについて。どんな奴だった?」
腹の上辺り、つまり心臓の辺りがとても、痛い。
青嵐が一口かじったらしい、小鬼の頭はソフトボール位の石になってしまった。そこには読めない文字が書かれた札が貼り付けられていた。そして青嵐は目を覚まさない。
「確か、帽子を目深に被った―。」
「そう、毛が赤茶色という奇っ怪ななりをした若造で御座いますぞ。」
「尾白!手柄を横取りするでない!わしが若にご報告をしようとだな。」
「ははん、どうせろくに覚えていなかったであろう。わしに任せて置けばいいのじゃ。」
「…………はぁぁぁぁ。相手は鬼灯か……、いやだな、あいつは苦手だ。」
頭が痛い。
「御安心あれ、全て我等が解決致しますぞ!」
「近頃、“らいたー”という、“まっち”を遥に凌ぐ心強い代物を手に入れたのですが。」
「おい。ちょっと―。」
「全てを焼き尽くすらしく」
「まてっ!!!」
カチリと音を立てて灯りが灯った。札はあっという間に燃え尽きてしまった。
「何て事を…、唯一の手掛かりかも知れないのに……、って、えぇぇ!?」
のそりとと起き上がる青嵐がいた。まだ、目は虚ろだが大丈夫のようだ…多分。良かった。
あいつの失敗だろうか。
「つまらん。」
赤毛に真っ黒いコート、鬼灯が僕の机に座っていた。
「―!!!」
なるべく反応しないように、振り返る、冷や汗の1つも悟られないように。
「青嵐に何をした。」
鬼灯はニヤリと笑って答える。
「その食い意地の張った番どじょうが頑丈過ぎたのがいけないんだ。お前の為の土産だったんだがな。死ぬ予定だった。」
こいつは何時も恐ろしい事をさらりと言う。
「お前にはこれは何に見える?」
ポケットから取り出したのは、丸い―。
「…りんご。」
「獣の心の臓に見えますぞ。」
「え。」
「見る者の好物になるよう呪をかけてある。…ふーん、お前は肉が嫌いなのか。…赤ん坊の頭もか?」
さっきより、ずっと頭が痛い気がする。やはり、こいつらとは相容れない所がある。勘弁して欲しい。
「はっ、我等とて若の好みくらいしっておるわ!」
「そして若が愛しておられるのはそれはそれは美しい姫君で―。」
「―おいっ、それは誰だ。どうにか始末しないと―。」
早くこいつを叩き出して欲しい。

「―何だ、律。」

あいつがこっちを見ている、僕を。
「む、何であいつが居るんだ?邪魔くさい。」
あぁ、腹が立つ。
「いい加減にして欲しいよ。今後一切知らない人から貰った物には手を出さない。良いな?」
知らないんだ、僕がどれだけ心配したなかんかなんて。
「いちいち煩い奴だ。」
本当に、何で。
「お、小鬼の頭、まだあったのか。食わせろ!」
こんなやつを好きになってしまったんだろう。
「この、食いしん坊がっ!!!!!」





ビバ駄文!!えぇ、文才が無いという前提は、しょうがない。これからの精進ですよね?
あ、好きな食べ物は色々考えた末、「…いちご。」とか、「…もも。」とか。語呂とか、かわゆさで。最終的には、B級で鬼塚さんが、落っことしてたな、うん、可愛いかった。苺は、多分、出てない?という、鬼塚さんポイントでりんご好きにしました。

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