未来系
□発覚!!(2009/04/16)
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「ぬわんですってえぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜!?」
豊かな黒髪(と胸)を揺らして、戦術予報士スメラギ・李・ノリエガは全員集合状態のブリッジにて、悲鳴のような叫びをあげた。
その原因、何かをスメラギに耳打ちした紅梅の髪のオペレーター、フェルト・グレイスには予測済みだったらしく、両手で耳を塞いでいる。
そして―
「何だって!?」
「まぁ本当!?」
「ひゃあ!!スゴイですぅ!!」
「マジかよ!?」
「ウソだろ~!?」
「……!?」
整備士イアンは眉を吊り上げ、その妻リンダは口に手をやり、一人娘のミレイナは、諸手を挙げて喜んだ。
後に続くは砲撃士ラッセと、マイスターのライル。
同じくマイスターの刹那はやはり驚いているようではあるが、どうにも言葉が見つからないのか唯々無言で目を見開いた。
当然だろう。
清純可憐で大人しく、常に言葉は控えめで、けれども強い芯があり、見せる笑顔は柔らかい。
そんな『守ってあげたい清楚な美人』を地で行く女性がフェルトであった。が
『妊娠』
突きつけられたその事実。男性陣は刹那以外、開いた口が塞がらない。
「グレイスさん、オメデトウゴザイマス!! それで…パパは誰ですかっ!?」
ミレイナのセリフに言葉を失っていた他の面々はハッとする。
この時代、人工授精は珍しく無く、合法・非合法問わず試験管ベビーというのも存在する。
が、それはあくまで例外で、通常ならば確実にいるのだ。『相手』が。
「そ、そうだ!! 相手は誰だ、フェルト!? まさか……いや、アイツは違うな!! となると誰だ!?」
特にイアンはフェルトの親を知っている。娘のようなものである。
かなりショックを受けてるようで、相手を知れば一発殴りそうな勢いだ。
「ロックオン、貴方じゃないでしょうね?」
「は!?何で俺が!?」
スメラギの言葉にライル‐ロックオンは舌を噛みそうになった。
「じゃあ違うのね?」
ライルは過去にフェルトが淡い恋心を抱いた相手‐初代ロックオンであるニールと瓜2つの顔をしている。
万が一の可能性を確認したという事だろうが…
「当然だ!!」
胸を張ってライルは答える。全くもって心外だ。
「それじゃ犯罪ですぅ!!ノリエガさん」
天然娘の無邪気なセリフに心を痛めるライルであった。
29歳マイスター、三十路と呼ばれる日も近い(作者もそろそろorz)。
「やぁねミレイナ、貴方のご両親は?」
スメラギだって三十路の筈だが…相手(彼女にベタ惚れのビリー)がいるので全然余裕。
因みに整備士夫妻の年齢差は…どう見たって犯罪だ。
「あ、そうでしたぁ。
なら…セイエイさんですかぁ?」
「違う」
刹那が横に首を振った。
「じゃあラッセか!?」
父親捜しに参加しようと、イアンまでもが身を乗り出した。
「違うって…そういやマリーがソーマだったな」
流石シニカルな砲撃士。こんな時でも冷静だ。
「じゃあアレルヤが?まさか…」
「あの…」
おずおずと皆に話すのは、すっかり置いてきぼりにされたフェルト。
メンバー全員固唾を呑んで、彼女の言葉に注目した。
「……ァです」
「「「「え!?」」」」
「ティエリアです」