1st終了〜2nd前

□信頼
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「娘ぇ!?マジすかぁ〜どう見たって…」
イアン・ヴァスティの言葉に、砲撃士が驚愕する。
「どう見たって、何だ?」
「いや、因みに年は」
「13歳ですぅ」
年齢的には、どう見たって『孫』だ。
「おいラッセ、何、人の娘に手ぇ出してんだ」
「出してねぇって…ラッセ・アイオン、砲撃士だ」
「アイオンさん、よろしくです!」
「フェルト・グレイスよ。よろしく」
元気な少女だ。自分がこの年の頃は、全く逆だったはず。
「こちらこそよろしくです!!」
「元気だな」
呆れたのか感心したのか、砲撃士も同じ感想を漏らす。
「じゃあ、頼むな。色々と教えてやってくれ」


「じゃあミレイナ、貴女の担当は…あ」
オペレーティングルームの扉が開き、ティエリア・アーデが顔を見せた。
「何だ?ティエリア、交代時間にゃ早いだろ?」
「明日、セラヴィーの試乗テストだそうです。ですから」
「OK、明日は俺が担当な。じゃあ、これが終わったら休ませてもらうぜ」
最後まで聞かず、ラッセが了承する。
人手不足なのだ。マイスターであるティエリアも、クルーの業務をこなしている。

「あ、ティエリア、この子は」
「知っている。イアン・ヴァスティの娘だろう」
どうやら既に知っていたらしい。知識は豊富にあるのが、彼なのだ。

「はい! ミレイナといいます! アーデさん、よろしくです!!」
「ティエリア・アーデだ。フェルト、そろそろプトレマイオスの移動を」
そっけなく返し、座席に座る。
彼にしてみれば、これでも愛想がいい部類に入る。
以前なら多分、『知っているなら、必要無い』と、名前すら告げなかっただろう。

「わかったわ。ステルスモード展開。ミレイナ」
漏れだす苦笑を押し込め、新人クルーに指示を出した。
「はいですぅ。ラグランジュ3に向けて航行を開始」
非常に子供っぽい口調とは逆に、優秀な少女。
さすがは、イアン・ヴァスティの娘、と言ったところか。

「先程情報が入った。アロウズの小隊がこの辺りに展開している」
地球連邦の独立治安維持部隊『アロウズ』
私達CB‐ソレスタル・ビーイング‐の、現在の敵だ。

「え?マジかよ。今から迂回間に合うのか?」
驚いたラッセ・アイオンが、ティエリアを見て、片眉を上げた。
「ティエリア、迂回ルートは?」
確かに少々近づきすぎているが、それにしては慌ててない。
「B14のルートを。アロウズの前方にカタロンの艦隊がある。
気を取られている隙に、我々は後方をすり抜ける」
「おい、カタロンの連中はどうするんだ?」
反乱分子は、容赦なく殲滅する、アロウズのやり方。
CBのメンバーは、誰だってよく知っている。
「もう、みんな逃がしたの?」
いつの間に…相変わらず仕事が早い
「ああ、情報は流してある。既に避難済みだろう。遠慮なく餌に使える」
「了解。ルート変更、A13からB14へ」
物騒な物言いにまたも苦笑しつつ、私はコントロールパネルを操作する。
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