1st終了〜2nd前

□神
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あの日僕は、失った。
2度目の、神を。

そう、あの人は、僕にとって、『神』だった。


僕を見捨てた、最初の神‐ヴェーダ
僕の全てだった、ヴェーダ。
ただの、機械

予兆は、あった。
十分、予測可能だった。

だが、それでも僕は、ヴェーダを、捨てられなかった。

僕には、他に無かったから。
マイスターとしての資質は、それだけだった、から。

そう、思い込んでいた、から。

だから、わからなかった。
理解する事が、出来なかった。

『そういう事が出来るのも、また、人間なんだよ』
教えてくれたのに。
あんなに彼が、教えてくれたのに。

ヴェーダに頼ることなく、縋ることなく、進む道を。

気がついた時、彼は僕を、庇って―

ヴェーダしか見ていなかった、僕を
ヴェーダに見捨てられたと、全てを放棄した、僕を。

だから、守ろうと思った。
彼は、僕にとって、2度目の、神だった。

差し伸べられた手は、とても、力強くて―

彼を、守ろうとした。
彼が僕を、守って、くれたから。

だから、今度は僕が、彼を守ると、そうする責任があると、
自分を、納得させた。

だけど、守れなかった。
彼は死んで、神は、イナクナッタ。

僕に、最後に残されたもの
彼の、神の望み…世界を、変える。

それですら、いい訳にすぎなかった。

仇を討ちたかった。
神を奪った存在を、消し去りたかった。

貴方の元へ、行きたかった。

僕が死んだら、ただ、死を選択しただけであれば、きっと貴方は、怒るでしょう?

だから、計画を続行した。

結局、僕は少しも、変わっていなかった。
縋りつく存在が、ヴェーダから彼に、ロックオン・ストラトスに、変わっただけ。

僕は何も、見ていなかった。
何も見えて、いなかった…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
意識が、浮上する。
視界は、暗い。

重力を感じない。ここは…宇宙?
だけど何かが、まとわりついて、うまく、体が動かせない。

僕は、死んだのですか?

だけど貴方は、どこに行ったのでしょう?
まだ宇宙に、居るのですか?

それとも、還ったのですか?
貴方の故郷、アイルランド…家族の、元へ

夢見心地の中、やがて光が訪れ、視界が開け、無機質な白い天井が、僕が生還した事を、伝えていた。
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