00second

□一緒に(FT 2009/04/12)
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(大きい画像はMyアルバムにあります)

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何だかなぁ…

広大な宇宙を航行する、戦闘輸送艦プトレマイオス。

その一室にて、2代目ロックオン・ストラトスことライル・ディランディは目に飛び込んだ光景に驚き、呆れ、何とも言えない脱力感を味わっていた。

寝起きにちょっとした確認がしたくなり、ライルは相棒のおしゃべり情報端末『ハロ』を探知。
インターフォンに返事は無いが、ハロの反応はこの部屋の中。

フェルト・グレイスならともかくとして、ここの主にハロと寝る趣味は無さそうだった。

ならば起きているのだろうと、勝手にパネルを操作して、部屋の扉を開いたのだが…

巨大とはいえ戦闘艦。個人の部屋は非常に狭く、無論ベッドも広くは無い。

細身な(片方は結構な胸ではあるが)2人ではあるものの、どうしてもぴったりくっついてしまうのはまぁ、仕方がない。

身長差がある2人故、片方の腕の中にもう一人が収まって、あまつさえ腕枕な状態で額を胸板に押しつけてしまうのも、まぁ仕方がない。

下手をすれば落下するため、長身な肩に抱きつくように腕が回されているのも、やはりまぁ仕方がないと言えるのだろう。

そんな状態ですやすやと眠る2人の姿は、ぱっと見仲の良すぎる姉妹か何かのようで、何とも微笑ましい光景ではあるのだが…

いかんせんそれは間違いである。

例え、その美貌は中性的で、長身とはいえ華奢で細身で、どう見ても女にしか見えないとしても…

それでも、ティエリアは男。

その佇まいは凛として、辺りをはらう美しさ。ドレスを纏えば優雅で可憐。アレルヤ辺りのゴツイ男と同種であるとは、とてもではないが思えない。

だとしてもやはり、少年なのだ。年頃の。

新入りライルには厳しくて、性格は割と漢(オトコ)らしく、バズーカ装備の殲滅型重量級ガンダムを操り一度怒ると非常に怖い、可愛い教官殿なのだ。

年頃の少年少女がベッドを共にしているとなれば、まぁそれなりにアレでコレな事態に発展しても可笑しくない。

デスクにはフェルトの着替えらしい私服と、準備のいい事にノーマルスーツまで置かれている。
ついでに枕元にはハロが、スリープ状態で転がっている。

毛布から覗く肩と袖を見る限り、2人共キッチリ寝間着を纏っている。
だとすれば多分『まだ』そんな関係ではないとは思うが…

別に構わない筈である。任務に支障がなく規則に反しない限りは、何をしようが個人の自由。

誰が何をしていようが大して気にする必要はなく、疑問に思ったところで詮索するのはプライバシーの侵害で、気にしないのが一番だ。

スパイであるライルには、大変有難く結構な事だ。

ティエリアとフェルトが『そう』なったところで、ライルには何の関係もない。

むしろ、仲間としては祝福すべきなのだろうが…何か騙された感じがする、微妙な気分になってしまった。

双子とはいえ弟故か、ライルの好みはどちらかというと大人の女性だ。

優しくて控え目で芯が強くて淑やかで、ついでに美人であれば言う事は無い(←何と贅沢な)。

無論(いいコだとは思うが)フェルトに惚れているわけでもなく、ましてやライルはノーマルなので、(既に男だと知ってしまった)ティエリアに倒錯した感情を抱くわけでもないが…

…兄貴の事だろうな
やはり気になるのは、初代ロックオンことニール・ディランディ‐死んだライルの双子の兄。

他のクルー達とこの2人の、ライルに対する態度の違い。

ハロ曰く『フェルト、ロックオンスキ!!』だそうだし、ティエリアだって似たようなもの。と言うか更に輪をかけていて、判り易いにも程がある。

面倒見の良さは長兄故か、誰にでも好かれる奴だった。常にニールは様々な面で、ライルの少し上を歩いた。

ライルは常に、比べられるのが嫌だった。

それに、2人がニールの死をまだ引きずってるとしたら、同じ顔のライルを見て、どんな感情を抱いたか。

だから、態と違いを見せつけて、違いをわからせようとした。

その結果、ティエリアには『茶化さないでもらおう』と苛立ちを露わにされ、涙ぐんだフェルトには、全力で平手打ちをくらわされた。

それでもまだ、ライルに対する2人の態度はぎこちなく、仕方のない事とはいえ(大人気無かった反省もあり)結構心配したのだ。が…

全く、人をやきもきさせといて、呑気に恋人同士宜しく仲良くひっついて眠ってくれてからに。

アレルヤを見つけた時と同じだ。
2人のこの状態がニールのいない寂しさ故としても、なんだか肩すかしをくらわされたようで、何と言うか複雑だ。

やれやれという気分を抱え、ライルは当初の目的であったハロを持ち上げ、そのまま部屋を後に…する前に、キッチリ2人をフォトっておいた。
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