00second

□身代わり
1ページ/2ページ

「ロックオン・ストラトス!!」
戦いのさなか、不謹慎にも俺は喜んでいた。

アイツが、あの教官殿が俺を呼んだ。
兄貴と同じ名前で。

兄貴の死の一端を担っている、カワイイ教官殿。
知っているさ。
アンタが兄貴をどう思っていたのか。

ここの連中は、特に、
あのフェルトって子は、俺に熱〜い視線を送ってくる。
だがそれは俺にじゃない。兄貴に向けられたものさ。

死んじまった、ニール・ディランディにな。
俺はライル・ディランディだ。
兄貴と同じ『ロックオン・ストラトス』を名乗っちゃいるが、兄貴じゃない。

そりゃ、最初は気付かなかったよ。
あのカワイイ教官殿は、いっつも厳しく、あの紅いくせに血の通わない、冷たい目で俺を見るんだ。

ある意味心地よかったな。
アイツは俺に、兄貴を重ねてないって感じてな。

だが、気付いちまった。
あの冷たい瞳が緩んだときの、誰よりも熱い視線に。

ハッキリ言って、幻滅したね。
コイツもかよ!って思ったさ。

アイツは、誰よりも強く、俺を意識している。
兄貴の代わりとしてな。

だからこそアイツは、冷たく、突き放して、自分に言い聞かせてるんだ。
兄貴じゃない、ってな。

だが、アイツは俺を呼んだ。
『ロックオン・ストラトス』ってな。

もう、大丈夫だ。
きっと、もう見る事は無いだろう。

あの、泣きだしそうな、悲しい瞳は。

もう何の遠慮もいらない。
兄貴の代わりなんざ、死んでも御免だ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ