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□名前
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「ロックオン・ストラトス!!」

躊躇いもなく、僕は叫んでいた。彼が継いだ、貴方の名を。

そう、彼は継いだのです。ロックオン
貴方の名を。役割を。

少し、寂しい気もします。
きっとこれから、『ロックオン・ストラトス』といえば、彼を表す名に、なるでしょうから。

貴方は、怒っているでしょうか。
誰よりも家族を愛した、貴方ですから。

貴方は、死を覚悟して討とうとした。
アリー・アル・サーシェスを、家族の、仇を。

だから彼を、唯一人の弟を、闘いに巻き込んだ僕たちを、怒っているかもしれません。

計画のためとはいえ、後ろめたさはありました。
何より、貴方と同じ彼の姿に、貴方の事を、僕の罪を連想して―

彼を貴方に見立て、僕は贖罪を望んでいた。
彼を貴方に見たて、僕は彼を守りたかった。

だけど結局、それは僕の独りよがりでした。
彼は、貴方ではないのだから。

彼は僕を、責めませんでした。
貴方を守れなかった、僕の罪を。
貴方を、彼の家族を、死なせてしまった、僕の咎を。

彼にそれを、責められることを、僕は望んでいた。
刹那ではないけれど、自分の罪を、告白したのに、彼は…

刹那にも、彼は、何も言いませんでしたよ。
流れは変えられない、だそうです。

尊敬している、とは言っていました。
仇打ちを優先した、貴方を。

だけど、彼は言いました。

家族が死んだのは、10年以上前の事で、
貴方のように、そこまで思いつめる事は出来ない、と。

だから、安心してください。ロックオン

祝ってください。
新しい『ロックオン・ストラトス』の誕生を。

僕の罪が、消えたわけではありません。
貴方を、忘れたわけでも無いのです。

貴方は僕にとって、いえ、きっと僕らにとって、
永遠に、唯一人の『ロックオン・ストラトス』だから。


そうでしょう? フェルト・グレイス

彼にとっても、僕たちにとっても、
あの人はあの人で、彼は彼だから。

僕は、手に入れたよ。フェルト

確固たる存在『ロックオン・ストラトス』を。

例え彼が、双子の弟がその名前を、引き継いでも、
僕の中のあの人は、もう絶対に、揺らがないから。

僕は、あの人の元に、行きたかった。
だけどあの人は、ここに居た。

ずっとここに、居る。

だから僕は、彼を呼ぶ。
『ロックオン・ストラトス』と。


ニール・ディランディ…ロックオン・ストラトス…

感謝します。貴方に、会えた事を。
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