00second

□仲間
1ページ/3ページ

「どうかした?」
戦術予報士、スメラギ・李・ノリエガは、
ティエリア・アーデに、そう問いかけた。

「いえ」
それだけ言うと、彼は前に向きなおり、また、思考に沈み始める。

珍しい事だ。
敵が撤退して言ったとはいえ、戦闘直後に。

こんな事があったのは、たった一度。
昔、ヴェーダがハッキングされ、ガンダム全機がシステムダウンした、あの時。

思い当たる節なら、ある。

「刹那」
「何か用か。フェルト」
ガンダムマイスター、刹那・F・セイエイ

4年前は、最年少だった筈の彼だが、随分と成長した。
今では、ティエリアよりも年上に見える。

その、ティエリア・アーデと共に、先日彼は偵察に参加した筈だ。
あの少し前から、ティエリアの様子が変わり始めた。
何事かずっと、考え込んでいる。

待っていようと思った。話してくれるまで。
だけど、やはり気になってしまう。

「世界の歪み?」
「ああ、そう言っていた」
きっとそれが、『本当の敵』

「なんだそれは」
「え?」
どうやら、口に出してしまったらしい。

「そういえば、ティエリアが言っていたな。
『本当の敵を、この目で見たい』と」
赤茶の、瞳。

「それは」
どうしよう。
真っ直ぐな瞳。言い逃れなど出来そうにない。
だけど、私が話してしまったら、ティエリアは…

話す? 何を?

「アイツは言いたくないようだった。
フェルト・グレイス、何を知っているんだ」
知っている? 何を?

「…何も、知らない」
そうだ。私は何も知らない。

「嘘だ」
「本当よ。何も、聞いてない」
全て私の推測で、ティエリアの口からは、何も聞いていない。

何も、知らないのだ。私は
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ