日誌No.XXX01

『二章:01.ルームメイト』での出来事


○月×日/記入者:一条拓麻

徹昼で漫画を読んでいたら、黒主理事長から転入させたい子がいるって相談されたんだ。
何で寮長の枢じゃなくて僕なのかなって疑問に思ったんだけど、きっとドアを開けてもらえなかったんだろうなって思うんだよね。
(ここだけの話、枢って寝起きが凄く悪いから…)

その転入生っていう子が、緋桜閑の妹って聞いて、僕は物凄く驚いちゃったよ。
同時に、緋桜家は成長過程で狂ってしまう者が多いって聞いていたから、彼女はどうなんだろうって凄く興味が沸いたんだよね。
李土様の事件の後、平和過ぎて退屈してたから、一波乱起きたら面白いかなと思ったのは内緒だよ?

折角面白そうなのに、枢ファンの貴族令嬢の転入希望が多くて、女子寮には空き部屋が一つも無い状態だったりするから、どうしようかなーって悩んでいたら、ふと枢の部屋なら空き部屋があったことを思い出したんだ。

優姫ちゃんが錐生くんとラブラブになっちゃってからというもの、枢はとっても落ち込んでいたし、ルームメイトができれば、いい気分転換にもなるだろう?
もし彼女が狂ってたとしても、枢なら難なく止められるだろうし、一緒の部屋で暮らしてもらっちゃえば一石二鳥だよね。
そう思って黒主理事長に、空き部屋のことを教えちゃったんだけど…。

あっさりバレたときの枢は、物凄く怖かったんだ。

教室で支葵と話していたら、突然背後から「い〜ち〜じょ〜お〜〜〜…」って地を這うような低い声がしてね。
恐々と振り返った僕に、枢は授業そっちのけで延々二時間ほどチクチクチクチクと、過去から現在までの微妙な僕の失敗話を語り続けたんだ。
笑えるほど面白くもなく、同情するにはくだらなさ過ぎる、そんな失敗談を延々とだよ?
教室内がシンとなる居た堪れなさと言ったらなかったよ。
藍堂のようにバケツを持って廊下に立たされる方が、マシなんだってことを僕は初めて知ったね。

でも、話はこれだけじゃ終わらなかったんだ。
話のネタが尽きた枢に、「僕の部屋に恥じない調度を、責任持ってすぐに揃えてくれるんだよね?」なんて言いながら、ギロリって擬音が聞こえてきそうな目で見られた瞬間、僕の寿命は間違いなく数年は縮んだよ。
その後、僕は家に電話して、至急アンティークの家具を見繕ってもらったりして、とっても大変な思いをするはめになったんだ。

皆も、枢を本気で怒らせないように気を付けてね。
特に藍堂とか、ね…。


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