君は100まで僕は99まで2
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猛はクリスマスが嫌いだった。
どんなに望んでも、プレゼントもパーティーもなかった。
いつも、母親にアパートから追い出されているか、一人アパートで母親を待っているかだった。
街は宝石箱をひっくり返したように彩られ、他人の楽しい声が聞こえてきた。それを見ていると、自分だけが世界から孤立しているように思えた。
そして、今もそうだった。
部屋にはクリスマスを主張するように置かれた小さなツリーと雪の音が聞える程の静寂。しかし、窓の向こうの屋敷は明るい光が灯り、音楽と楽しそうな声が聞こえた。
「今は俺と同じだけど、お前は子供の頃、あの中にいたんだろ?」
窓から視線をはずし、後ろの少年に言った。
彼は拘束着と厳重な鍵のついた手錠を掛けられ、アイマスクをされていた。彼は猛の声を聞えているはずなのに、何の反応も示さなかった。
「今じゃ俺と同じか。」
猛は苦笑した。
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