名前変換など
□その名を呼んで(閑話3)
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慶次達が飛び降りた崖の底を見下ろすものがあった。
下は森に覆われていて闇夜では様子も伺い知れない。
縁から離れ、ゆらりと揺れ動いた銀色が闇の中できらりと光った。
「まさかここから飛び降りるとはね」
あたりに柔らかい声音が響く。
「子供の連れなんて珍しいと思ったけれど、調べが足りなかったかな」
失敗した様子も見せず、声の調子はあくまで明るい。
ゆるい風が銀髪を凪いだ。
「あまり時間はかけていられないし…方法を変えようか」
腕を挙げると、後ろに控えた影たちが散らばっていく気配がした。
「今は、精々逃げ回るといいさ…慶次君」
口元だけで笑った後、銀色は、身を翻して闇に溶けていった。
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