少年陰陽師/キリリク

□温もりの話し
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某月某日、うららかな昼下がり。
小鳥が寄り添って庭の木に止まる姿を、昌浩は虚ろに見つめていた。

「………ねぇ、もっくん…」

「……あー…何だー?」

昌浩のすぐ傍で、同じく横になっていた白い物の怪は、少し間をおいてからうろんげに返事をした。

「………ちょっと散歩したいな…なんて…」

「……だーかーらー…」

昌浩の言葉に、物の怪は小さな肩を震わせながら、ゆらり、とさながら幽霊の様に起き上がる。

「お前は今日一日ゆっくり寝て体調治せって言われたのを忘れたのか!
黙って聞いてればさっきから外行きたい散歩したい本読みたい物書きたい外行きたい外行きたい散歩したいって…っ!!」

毛並を逆立てて本日何度目かの台詞をまくしたてる小さな生き物に、昌浩も本日何度目かになる虚ろな目線を向けた。




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