長編novel

□君の好きなようにして・2
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次の日、思っていたより緊張せずにシンと話す事ができたカガリだったが、エレベーターでの出来事は話せなかった
エレベーターの事はカガリにとっては嫌な思い出だが
シンが自分のマンションでカガリが嫌な思いをしたと知ったら、気を使ってもう部屋に呼んでもらえないかもしれない
(また、部屋行きたいしな・・)
そう思うと、ますます話せなくなるのだった

シンはサッカー部
カガリはバスケットボール部に所属していた
カガリはシンがサッカーをしている姿が好きだ
シンのポジションはフォワードで主に前線で攻撃をしている
ゴールを攻める時に見せる、ぎらついて燃えるような紅い瞳が好きだ
カガリは体育館が使えず外でトレーニングをしている時、同じグラウンドにいるシンの姿をいつも目で追っていた
それは、シンも同じ
部活の合間の休憩時間が合えば二人はいつも一緒にいた

「カガリ、今日は一緒に帰れそう?」
雨の日以来、二人は忙しくてなかなか一緒に過ごすことができなかった
できたとしても、帰り道や学校の休憩時間という短い時間だけ
バスケ部は試合が近いとあって、レギュラーのカガリもはりきって練習しているし
6月に入り梅雨の季節だというのに一向に雨が降る気配がない
よって、カガリは日が沈むまで部活をやるし
6月の日は長い、カガリを駅まで送ったら時計の針はもう夜をさしている

(この前みたいな、いいおもいは当分おあずけなのかな)
雨の日の事を思い出すとシンはにやにやしてしまう
シンだって健全な男の子であるわけで、最近彼の頭を占めているのはもっぱらカガリの事だ
部屋での情事を思い出すと身体の中心部が熱をもつ
恥ずかしいおもいもしたが・・
シンの頭は常にどうしたらカガリと触れ合えるかばかりを考えていた

「んーどうだろ、まだ試合の作戦とか話し合いがあるし・・一応部活終わったら部室の前で待ち合わせにするか?
でも、あんまり遅いようだったらシン先に帰っていいからな」
「わかった」
飲みかけのジュースをシンに投げて渡すとカガリはまた練習に戻った


「お疲れ様でーす」
「また明日ねー」
バスケ部が終わる頃には、西に傾いた太陽が長い影をつくっていた
サッカー部は一時間ほど前に解散しており、カガリはもうシンは待っていないだろうと思っていた

「相変わらず遅くまでやってるなバスケ部」
校舎の柱からぬっとシンが現れる
「うわっ!びっくりしたー。シンおまえまだ帰ってなかったのかよ」
「今日はカガリと一緒に帰りたかったからさ」
ここ2,3日カガリの部活が遅くて二人は別々に帰っていた
カガリは嬉しくてシンの手をとり歩き出した
「ありがとな」
最初こそ人前で手を繋いで歩くなんて恥ずかしくてできなかった二人だったが
二人の関係が周知の事実となった今では、人目も気にならなくなっていた
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