長編novel

□君の好きなようにして・1
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「・・・で、シンとはもうやっちゃった?」

仲間同士で机を並べ、たわいない会話に花を咲かせながら昼食をとっていると、女友達の一人がこう口を開いた
それは、おしゃべりの間に流れた僅かな沈黙の隙に入り込んだ突然の質問だった

「・・・・・っ!!」

何の脈絡もなく振られた質問にカガリは息をのみ、口内のパンをゴクリと喉を鳴らして飲み込んだ
思いのほか噛みかけのパンは大きく、ゴホゴホと咳き込む

「ゲホッ・・な・・・ケホッ・・なんでそんな事きくんだよっ!
・・第一シンと付き合い始めてまだ二週間しかたってないんだぞ」

語尾がだんだん弱まっていく

「はは〜ん、その調子だとまだって事ね、愛があれば時間なんて関係ないと思うけど
・・ってあんた達二人とも初めてだっけ」

フレイの言うとおりだった



シンはカガリの男友達の一人で、仲間達と一緒によく遊んでいた
カガリにとってシンは同い年だけど弟のようにかわいい存在
出会った頃はシンの口の悪さによく衝突したけれど、慣れてしまえばかわいいものだ
シンもカガリの事を「この男女!」と言ってよくじゃれあいながらケンカをしていた
誰しも二人の間に恋愛感情が生まれていたなんて知りもしなかった



それは、一年間袖を通した制服も体に馴染み、先輩風を吹かしたくなる春の時

「シンとクラス離れちゃったな・・ガッカリだよ!あぁーあ1年生の頃は楽しかったなー。
2年生でもおまえらみたいな仲間ができるといいんだけど・・心配だな・・あっシンのクラスの担任さ・・・・」

突然かかってきたシンからの電話にベッドに横たわりながらしゃべっていると

「男友達なんてつくるなよ!!」

「は?」

語気はげしい様子に意図が解らず聞き返すと

「オレ、カガリの事好きだから!友達とかそういうのじゃなくて、
男として付き合ってほしい
・・返事すぐじゃなくてもいいから・・じゃあ・・」

プツッーーツーツーツー

「ちょっ・・おい!シン!シン!・・」

ベッドから身を起こし携帯に向かって叫んでも相手からは無機質な音が流れてくるだけ
だからといってかけなおす勇気もなかった





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