長編novel

□君の好きなようにして・2
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学校から駅までの道のりを二人で歩く
時間が遅いせいか歩いている生徒もまばらだ
「カガリ久しぶりに公園寄っていかない?」
「え?」
公園は駅から100mほど歩いた場所にあり
胸の高さまでのフェンスと木々に囲まれて、公園内は通学路から死角になっている
付き合った当初、駅で別れるのが惜しくて時間があれば二人でこの公園で過ごした
フォーストキスも公園のベンチでだった
今でもシンとの別れは惜しいのだが、最近は部活が忙しくて疲れているのがカガリの本音
日が長くなったといっても時間は止まってくれない、時計の針はもう帰る時間だとカガリを急き立てる
太陽も沈む速度を速めて、辺りは薄暗くなってきた
でも、シンがカガリを待っていてくれたように、カガリだってシンともっと一緒にいたい
(ちょっとだけならいいよな)
通学路を逸れて二人は公園に向かった


昼間は親子連れで賑わっていた公園も今は役目を終えて、閑散としている
「本当久しぶりだなこの公園に来るの」
カガリはそういうとブランコの方へ駆け出し、いきおいよく漕ぎ始めた
シンも隣のブランコに座る
ギーコー ギーコー
「今度の試合の相手がけっこう強豪でさ、みんながんばってるんだ」
スカートが翻るのも気にせず、なおもカガリはブランコを漕ぐ
「ふ〜ん。がんばれよ、俺もその試合絶対応援しに行くからさ。
でも、カガリって本当バスケ好きだよな」
風圧で広がるスカートから見えそうなカガリのパンツを気にしながらシンは言う
「当たり前だ!私からスポーツを取ったら何が残るんだよー。勉強は苦手だしさ・・
一体シンはいつ勉強してるんだ?私なんて家に帰ったら疲れてバタンキューだぞ」
確かにカガリの成績はあまり良い方ではない、シンの方が順位も上だ
「じゃあ今度の学期末試験一緒に勉強しようぜ」
純粋に勉強だけをするだけではなく、そこに下心が含まれているのも事実
「ん・・・そうだな」
カガリの頭の中にも先日の部屋の情景が浮かぶ
照れ隠しの為か、カガリはブランコを降りて、三角で山のような形をした滑り台に向かう

滑り台の下には直径100cmの子供が遊ぶ小さなトンネルがあり
カガリは身を屈めてトンネルの中に入っていった
「シンもこっちこいよー、なんか懐かしいぞ」
トンネルの中は少しコンクリートと土埃の匂いがした
「こんな狭かったんだ・・小さい頃トンネルなんてスイスイ通ってたのにさ」
窮屈そうにシンがトンネルをくぐる
「だよなー」

二人で横に並んで座るとお尻と背中にひんやりとしたコンクリートがあたる
外より暗いトンネルの中
「なんかこうやって二人でトンネルの中は入ってると、探検や秘密事してるみたいでワクワクするよな」
カガリは昔を思い出して微笑む
(俺は暗闇に二人きりでドキドキなんですけど)

暫く二人で寄り添っていると、シンがカガリの肩に腕を回す
カガリがシンを見ると、暗闇で紅い瞳がカガリだけを見つめていた
(この瞳が好きだ・・)
嘘、偽りのない、バカ正直にシンの心を映し出す瞳がカガリは好きだった
どちらともなく唇を寄せる

「ん・・ちゅぱっ・・ちゅっ・・んは・・ちゅっ・・」
唇を離しては、また口付ける
「あっ・・ちゅっ・・ちょっ・・ちょっと待て・・んんっ・・」
激しくなる口付けにカガリはやや押されぎみだ
何かを必死に訴えようとするがシンがそれを許さない
やっとのことで甘い唇を離すと
「わ・・私汗臭いぞ!!」
カガリは今更ながらに気付いた事実を口にする


部活をしてきたから当然といえば当然だが、シンにとっては気にならない事
いや、カガリの汗の匂いもすべてが愛しかった
「カガリはいい匂いだよ・・」
そう囁くとカガリに覆いかぶさるようにしてキスを再開する
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