その他
□かさね、無謀な一日 後半
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あの後、着物に戸惑っていた私は何とか殿様のお陰で着る事が出来た。
(……身体おっきかった……)
一瞬だけ帯を結わえるのに抱き付いた身体は広く、華の香りがした。そうしてまで、この殿様は一体何がしたいのだろうか。
『お前は単なる荷物もちだ。』
『荷物持ちって…買い物ですか?』
『まぁそうなる。ただ俺の側を離れるなよ、離れてどっか行っても探さんからな』
そう言われてから賑わいを見せる城下町を歩いて約10分。しかし、殿様は何も喋らずただ、目の前を歩いている。一体何が欲しくて来たのかさっぱり分からない。
ふと、殿様がある店の前に立ち止まって店先の前に飾り並べられている品々の前で屈んだ。そうすると、店の人もこれは買うな。と思いながら出てくる
「お姉さん何かお探しで?」
「この櫛色いいねェ、お幾らだい?」
(……な、)
「お!流石お目が高い♪これはですなぁ………」
(………いまの何?!…)
後ろにいたかさねは口をあんぐり開けて、その場で固まっていた。その間店の先で殿様はそんなかさねに構わず買い物をしている。
「また今度いい品が入る頃寄らせて貰うよ」
「へい♪有難うやんした〜!!」
「…。次行くぞ」
「……ハッ!!。幻?!」
「置いてくぞ」
ドサッと殿様の荷物を持たされてかさねは慌てて殿様の後を追った。
(……さっきの聞き間違いかなぁ)
だが、
かさねのそんな思い違いは間違ってはいなかった。
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