東方 小説

□HAPPY BIRTHDAY
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風が静に流れてくる
音のない、静かな神社
その神社に一人、
搏麗霊夢は、のんびりとお茶を啜っていた
「・・・どうだった?」
霊夢は何もない場所に静かに尋ねた
途端、勢いよく風が吹き抜ける
「駄目だ、アリスもパチュリーも話を聞いてくれない」
「そ、」
沈黙

・・・・・・

・・・・・・・・

「・・・今年は私と、魔理沙と萃香・・・それから霖之助さんで四人ね」
「・・・そうだな」
座布団に座る魔理沙に霊夢はそっとお茶を出した
「せっかくの誕生会なのにね。それからあんた、ちゃんとご両親のプレゼント使いなさいよ?」
毎年贈られてくる、贈り主の名前がないプレゼント。
「いや、分かってはいるんだが、何故か毎年、同じプレゼントなんだ」
「勘当されても貰えるだけ感謝しなさい。プレゼントを渡すって事は、少なからず心配してるって事よ」
沈黙

・・・・・

・・・・・・・・・

あの魔理沙がこうも静なんて・・・

「・・・はろ〜」

二人だけの部屋に聞き慣れない声が響いた
「何の用?紫」
つまらない、と呟きながら八雲紫がスキマから現れた。
「今日は魔理沙の誕生日だと、あの鬼から聞いたのよ」
「・・・それで?」
霊夢は紫を見向きもせずただお茶を啜りながら軽い返事を返した。
「どうやら、他の者達は来ないようね」
わざとらしく笑いながら紫は言った。
「・・・まぁ、仕方がないさ」
魔理沙がいつもより勢いのない笑顔で言った。
それはいつもと違った悲しい笑顔だった。
「・・・・」
しばらくして、紫が小さくため息をついた。
先程の言葉を気にしたらしい・・・
「幽々子に声をかけてみるわ」
「・・・ありがとうね」
霊夢が紫のいた場所を見て呟いた。





「はろ〜」
「本当に来たのね」
「あら、だってお誕生日会でしょう?祝える物は祝わなくちゃね?」
怪しい光を目に宿らせながら、西行寺幽々子は霊夢に言った
食べ物狙いか・・・
霊夢は横目で幽々子を睨んだ
「幽々子さま、睨まれてますよ」
すかさず妖夢が止めに走る
「あら、妖夢。貴方は食べないの?」
「ですから・・・」
「博霊の巫女は優しいだけよ。なんだかんだ言っても、やっぱり友達なのよ」
「・・・はぁ」
幽々子の言葉に妖夢はちらりと霊夢に目をやった。
霊夢は睨むのを止め、静に一人で酒を飲んでいた。
コップに入った酒を飲み干した後、新しいコップに酒を入れ、隣に座る魔理沙に霊夢は酒を突き出す。
「・・・あんたも飲めば?」
「後で・・・な」
相変わらず魔理沙は二人分の開いた席を見つめていた。

「今更来ないことを気にしても意味はないと思わない?」

「紫・・・」
霊夢がちらりと紫を睨む。
「失礼・・・」
紫は扇で口元を隠しながらスキマの中に入って行った。
「全く、どいつもこいつも今日は何だと思ってるの!?・・・気分が悪い・・・」
ちょっと外の空気を吸ってくるわ。そう言い残して霊夢は会場を出て行った。
「あいつらは・・・来ないのかな・・・」
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