東方 小説

□HAPPY BIRTHDAY
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「?」
夜だからか、あのH−−−チルノがいるはずの湖には誰もいなく静かな世界が広がっていた。
水面には月が映り、なんとも幻想的だった。
そんな中、何かががさりと動いた。
妖精だろうか?
警戒せずに近寄ってみると、そこには


藁人形に釘を打ち付けている人がいた。


否、彼女は人ではない。

パチュリーはため息をつくと、少女の傍へと向かって行った。
少女も気付いたのか、一瞬釘を打つのを止めたが、再び金づちを振り下ろした。
「何のよう?」
「泣いてるんじゃないかと思って」
「泣いてないわよ」
ほんの少しの会話。
それだけで十分だった。
「今からするのは独り言よ。ある人が言ったわ。私達と違う人が」



【今ここにいる幸せと、傍にいてくれた人に私からありがとうと伝える日なんです】



「さて、私は霊夢のところに行くわ。プレゼントはないけど」
「−−−待ちなさい」
パチュリーは振り向かず、その言葉を待った。

「私も−−−行くわ」

待っていた言葉は、パチュリーの口元を緩ませた。
「そ、でもあなたもプレゼントはないみたいね」
「何言ってるの」
「?」
顔は見えなかったが、どうやらアリスは呆れているようだった。

何かしたかしら?

悩んでいると、ぽん。と頭に何かが当たった。
アリスの本だ。

「何言ってるのよ。私達が祝いに行く事が−−−なによりのプレゼントじゃない」



「魔理沙ーいる?ってうお。何だこれ」
酒瓶は転がり殆どが寝ている萃香は今だ飲み続けているが。
魔理沙は相変わらず月を眺めていた。
コップにも手を付けた後がない。
「霊夢か?」
「そーよ。それよりあんたにプレゼントよ」
「プレゼント?」
霊夢の方を見ると、襖の向こうで何かが騒ぎ立てていた。
「早くしなさいよ」「何で!あんたが行きなさい」「はぁ!?」

『あ』

苛立った霊夢が襖を開けると、二人の少女が雪崩のように倒れ込んだ。

「ア、リス・・・パチュリー」


『あー・・・た、誕生日おめでとう。魔理沙』


二人の言葉に魔理沙は幸せそうに微笑んだ。
「さぁ、宴会を始めましょうか」
「ちょっと紫。どこに行ってたの?」


「今日の宴会は人数が少ないのね」
沢山の声に慌てて外へ出ると
「あーうー魔理沙ー祝いに来たよ」
「私を呼ばないなんて水臭いですよ!!あ、カメラ忘れた・・・」
いつもの幻想郷のメンバーがいた。

「どう?役に立ったかしら?」
「まあまあね。さ、魔理沙誕生日会を再開するわよ」
「あぁ」
「あ、忘れてた」
とん、と軽い音を立て、霊夢は地面へと着地した。

『魔理沙』



HAPPY BIRTHDAY
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