東方 小説

□店内にて
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中は見た目より広く、何とか全員が入ることが出来た。
「さて、最初は誰から歌うんだ?・・・というかこーりん ・・・服を着てくれ」
服を着ていない霖之助は
赤フンドシ一丁で堂々と立っていた。
「じゃあ僕から歌おうかな」
頼むから私の話を聞いてくれ・・・。魔理沙は心の中で思った。
「さぁ、そろそろくるかな?僕の十八番が」
画面からあの前奏が聞こえた。その曲は・・・


お婿にしなさい!


『なんで魔理沙を指差すのよ』
霖之助が、指を指すのと同時に、魔理沙の隣に座っていたアリスとパチュリが勢いよく立ち上がり叫んだ。
一方、真ん中に座る魔理沙は八卦炉を握りながら怒りを抑えていた。
このままでは自分にマスパが飛んでくる。そう考えた霖之助は渋々歌う曲を変更した。 次の曲は・・・
「シアワセウサギ!さぁ優曇華!一緒に歌おう」
「何で!?」
無理矢理押されマイクを受け取る優曇華。
ため息をつきながら、仕方なく歌うことにした。
『素直に〜』
『貴方の赤い瞳が私を捕らえて放さないのは内緒よ』
霖之助がちらりと優曇華を見ると、優曇華は、赤い目そして重々しい声で霖之助を睨んでいた。
『こ、こんなに・・・』
突然、霖之助が妙な動きをしだした。
「逃げて座薬!」
てゐが楽しそうに叫んだ。
「逃げなさい座薬!」
永琳が真剣に、けれども楽しそうに叫んだ。
「座薬って言うな−!師匠まで・・・」
一方輝夜は、楽しそうにただ見ているだけだった。





「さぁ次は私かしら」
アリスがすくっと立ち上がった。
「さて、何を歌おうかしら?・・・あら、もう入ってる・・・?」
曲名・・・


【魔理沙は大変なものを・・・】


「何で入ってるの!?しかもハコ!誰よ、入れたの!?」
笑いながら霖之助が手を挙げた。復讐だろうか。
霖之助・・・コロス
そっと心の中で誓った。アリスだった。
「私、後で歌うわ」
「なんだ。アリス、歌わないのか。じゃあ私と次何か歌うか?」
「まっ、魔理沙と?」
途端、パチュリ−が吐血した。
「ゴフッ」
「パ、パチュリー様」
魔理沙の横で、小悪魔が焦りながら叫んでいた。一方、
「魔理沙、私なんかでい、いいい良いの?」
「ん?アリスは嫌なのか?」
まさか!んなわけなかろうが!!
「そんなわけないでしょ!?ううう嬉しいわよ!」
「そうか」
明るい笑顔がアリスに降り懸かった。
「ゴフッ!」

ガン!

アリスの顔面がテーブルに直撃した。
みるみるうちに、テーブルがアリスの鼻血と、パチュリーの吐血で赤々と染まっていく。
心配しながら魔理沙が背中を摩るが、かえってそれが逆効果となり、更に血が広がっていった。
周りはまたかよ、という冷めた目で見つめていた。
「お、おいアリス大丈夫か?」

限界です。

それを見ていたレミリアがため息をついて言った。
「これじゃあ駄目ね。咲夜、次は私が歌うわよ」
「お嬢様がですか!?」
ならばと、楽しそうに妹のフランドールが言った。
「お姉様一緒に歌いましょう?」
「そうね」
そして前奏が響き出す。


オーウェンのアレンジ曲
【SWEET litlle sisters】


『闇との契りが定めへ導く』
『呪縛が遮る絶望の淵へ』
嗚呼、姉妹揃っての歌声なんて綺麗・・・・
今にも鼻血を出してしまいそう・・・
「咲夜、今鼻血を出したら即退場な」


沈黙


「だ、大丈夫です。魔理沙!私は鼻血なんて、おぜうさまの前ではしたない真似なんて・・・」

ブフツ!

「アウトだな」
魔理沙はそう言い、霖之助に追い出してもらおうと思ったが、パチュリーに止められたので仕方なく止めた。そんなことをしている間に、レミリアとフランの歌は終わった。


「魔理沙。次は私が歌うわ」
マイクを取ったのは、パチュリーだった。
曲は


【密室を出た少女】


「お、頑張れよパチュリー」

!?!?

な、何!?今魔理沙何て・・・。だめよ!今ここで変なことを言ったら!
今は歌に集中しなくちゃ

少女妄想中

・・・・・
・・・・・・・
「すぅ・・・」
ゲボッ!

少女昇天中

「まったく、何でみんな血を出すんだ」
自分の周りのみ、テーブルを拭きながら魔理沙が呟いた。

お前のせいだろうが!

周りの視線を理解したのか、魔理沙は少し声のトーンを落として言った。
「私、応援しないほうがいいのか」
「そんなことない!!」
いきなりのアリスの叫び声に少し驚く魔理沙。
「そ、そうか?」
「−−−そんなに進まないなら魔理沙が歌えば?」
そう言ったのは霊夢だった
「お、そうだな」


【MILKY WAY】


「さぁ、歌うぜ」
前奏がゆっくりと流れる。
周りをみるとアリスとパチュリーがハンカチを力強く握っていた。
鼻血を出す前提ですか・・・
「・・・すぅ」

あぁ、なんて素敵な歌声。
まるで・・・・

まるで・・・・・

天使・・・じゃないけど。

でも、いい。

ゲボッ!ブフッ!

「・・・・間奏中に何してんだ?」
とうとう魔理沙も冷めた目になった。
『お、お構いなく・・・魔理沙はそのまま歌い続けて』
「あ、ああ・・・すぅ」

ゲボッ

「・・・」
う、歌えない・・・
魔理沙は静にマイクを置いた。


重い空気が続く。


途端入口のドアが勢いよく開いた。
「代わりに私が歌おう!」

「誰!?」
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