物語
□今はただ、
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PFもクロウもサイもチヨも、僕たち以外誰もいない廃墟で、僕は彼女といた。
「涼しいね」
「・・・うん」
誰かと見る夕暮れは、嬉しくてとても寂しかった。
見たかった。誰かと見たかった。なのに、どうして・・・
「セト?」
涙が止まらないのだろう。
「何でもないよ・・・レン」
心配そうに見つめる彼女の瞳には、夕焼けの光が映っていた。
あぁ、どうしてこんなにも寂しいんだろう。今この瞬間を大切にしていたいのに。
心のアルバムは時と共に虚いで、褪せてゆく。
まるで止まらぬ時のように。
だけど・・・・願う
「・・・レン」
「何?」
「今度は、皆で見れたらいいね」
「−−−うん」
叶うことのない願いを−−−
いつか一人になると知っているから
今はただ、強がりだけを口にしよう