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□『相合い傘』
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ザー……
「嘘だろぉ…」
絶え間なく降る雨
少しの隙すら作らず
雨は富松の前に現れた
『相合い傘』
「作?」
呼ばれて振り返ると、次屋がたっていた
「三之助…」
「作、もしかして傘を無いの?」
「だっていきなり降ってきたんだぞ。三之助も傘ないだろ?」
きょとんとした顔をした後、次屋が鞄から折りたたみ傘を取り出した
「用意いいな…」
「作も一緒に帰ろうよ。」
見ると、それは一人が限界であろう小さな折りたたみ傘
「俺が入ったら三之助が濡れちゃうだろ」
「ちょっとくらい濡れても平気だって」
そう言って次屋は折りたたみ傘を組み立てて、俺を中に入れてくれた
「あ、ありがと」
「どういたしまして」
……………
(でもちょっとラッキーかな)
(?ラッキーなのは俺だろ。傘に入れてもらってるんだから)
(ううん、俺もラッキーだよ。だって…)
(だって?)
(作と相合い傘できてるからね)
(…ばッ!馬鹿じゃねーの!!相合い傘って…!ってそっちは駅に行く道じゃねぇ!!)
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