過去に何処かで発表済みの作品達

□(幕間)君に、逢いたくて
1ページ/1ページ

・・・。
・・・・・・。

ココハドコ?
何も無い。

ただ、君の悲しみだけが
虚しく響いている。

ああ、そうか、僕は・・・

「死んでしまったんだ。」

君の悲しみの中に、想いを感じる

(ただ一目でも貴方に会いたい。)

満月の夜。

部屋に一人立ち尽くし、泣いている君。
僕は君を泣かせたくなんかなかったのに。

僕は届くことなんか無いと思いつつも
君に声を掛けていた。

「おいで」

はっとしたように君がこっちを向く。

僕は実体を持たないただの光。
ただ、君を包むことしか出来ない。

だけど、君の悲しみを癒したい。



「大好きだよ。」

ずっと、ずーっと君に言いたかった。
いや、今も言っていたい言葉。

僕の大切な君にだけ捧げる言の葉。



「ごめんね。」

君を泣かせてしまった。
なんて不甲斐ないんだろう。

謝っても謝りきれない。



「僕はずっと君と一緒に居るから」

だって君が大好きだから。
離れたくなんか、ないから。

ずっと、ずっと君と居たい。
いや、居るんだ。



「だから僕の大好きな君の笑顔を見せて?」

僕は、我侭だね。
君を泣かせているのは誰でもない僕なのに、
君の笑顔が見たい。なんて。

それでも目に涙を溜めて、
君は僕に飛びっきりの笑顔を僕にくれる。



「後少しだけ待っててね」

そう。
もう少ししたら、僕は別の姿をとって、
また君に逢える運命(さだめ)。

途切れることの無い縁(えにし)によって繋がれているから。

だから、ほんの一瞬、お別れ。





君を現実に帰してすぐに
僕は手紙を書いた。
ただ一言。

『ただいま』

そして僕は1匹の子猫となり、
また君に会いに行く。


君に、幸せを届けるために。

明るい未来を、紡げるようにと、

願いながら。



さぁ、新しい僕と君を始めよう。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ